2014 Fiscal Year Research-status Report
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25380353
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
江口 匡太 中央大学, 商学部, 教授 (50302675)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 選挙 / 衆議院 / 小選挙区 / 中選挙区 / 参議院 / 東京都 / 利益誘導 / 安全保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はまず選挙制度の変化がどのように政治家の行動に影響を与えたかについて、選挙公報を通して実証的に分析することを目的とする。次に、実証結果に基づいて、理論的考察を行い、望ましい選挙制度と政治システムのあり方を考察するものである。 この目的に沿って、1979年の第35回衆議院選挙以降の衆議院東京都選挙区を中心にデータベースの作成を行ってきた。平成26年度は、前年度の作業に加えて、新たに実施された2014年12月の第47回衆議院選挙分のコード化を行うとともに、1977年の第11回参議院選挙から2013年の第23回参議院選挙の東京都選挙区についても比較のためにデータのコード化を進めた。また、前年までの作業に比べて、外交・国防といった公共財サービスへの言及についてもコード化を進めた。以上より、衆参それぞれ13回ずつのデータベースがほぼ完成した。 平成26年度は、より精緻なデータベースの作成のために、OCR(光学文字認識)処理を試験的に実施してみたが、結果的には当初想定していたほどの効果は得られないことがわかり、人力によるコード化をすすめることになった。そのため、正確を期する必要性からかなりの時間がかかったことは否めないが、平成26年度中にほぼデータベースを完成することができた。 また、簡単な分析も並行して行い、政党別、衆参別の議員候補者の政策アピールの変遷のあらましを明らかにした。詳細な統計的な分析が今後必要となるものの、1)自民党候補者は他党の候補者に比べて、概ね地元の利益誘導に関するメッセージを発信する傾向にあること、2)小選挙区制度以降は地元の利益誘導に関するメッセージは減少傾向にあること、3)外交・国防に関して、いわゆる「左派」的な主張は減り、「右派」的な主張は増える傾向にあることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
選挙公報のコード化作業において、当初想定以上に試行錯誤を繰り返すことになったものの、データベースがほぼ完成し、簡単な分析も行うことができた。以上より、概ね順調に推移していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
データの統計学的な分析を進め、研究成果をまとめる作業を視野に入れるとともに、何らかの理論仮説を提示できるように努める予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の遂行は3年全体で行う予定であり、確実な遂行を優先したために次年度使用額が生じた。しかし、直接経費に占める割合は8%であり、ほぼ順調に予算執行が行われた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
9万円余りという金額のため、書籍や物品の購入に充てる予定である。
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