2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380362
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
瀧 敦弘 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (40216809)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公務員 / 賃金決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、一昨年度、昨年度に引き続き、公務員の賃金決定について、労働経済学における賃金決定の理論的研究や実証研究から考察を深めた。 とくに、今年度は、ミクロ経済学的な個人の特性や人的資本蓄積や勤務地などが賃金決定にどのように影響を与えるかの考察のみならず、マクロ経済学的な属人的な要素以外の要因が賃金水準の決定にどのように影響を与えるかを考察した。財政学的な要因は、公務員の賃金決定について影響を与えてきたが、一律に影響を与えているものでもない。これらの複雑な状況を分析するために、国家公務員のみならず、地方公務員についての資料やデータの収集を開始した。同時に、公務員の労使関係についても、事例を含めて資料収集やデータの収集を開始するとともに、労使関係の理論からの整理を開始した。公務員の場合、非業績連動型企業の賃金決定の理論となるので、その分野の労働経済学理論の整理を行った。 平成28年度は、最終年度となるため、理論的な考察のみならず、さらに、データの収集と整理を行い、それらのデータを分析して理論との整合性を検討する予定である。とくに、そのための地方公務員のデータの収集を、いくつかの事例として、急ぐ予定である。また、非業績連動型企業の賃金決定の資料の有無の確認や、公務員の賃金決定が影響を及ぼしていると考えられる民間の職業の賃金決定(たとえば、保育士や介護士など)について、分析を拡大し、ここでの研究を取りまとめたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れていることには、おもに2つの理由がある。 ひとつは、平成26年度に部局長に就任したために、学内の重要な会議などに出席しなければならず、十分に研究時間が確保できないのみならず、海外での調査や予定していた意見交換ができなかったためである。 もう一つは、私的なことであるが、体調管理の必要があり(とくに年度前半)、十分に研究時間の確保ができなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も、引き続き、国家公務員についての統計データの収集整理とその分析作業を進める。さらに、地方公務員についてのデータ収集や、公務員の賃金決定の影響を受ける民間の職業についてのデータの収集を行う。地方公務員については、どこか都道府県・市町村を選定して行う予定である。また、労使関係についても資料収集を行う。 昨年度、一昨年度にできなかった海外の研究者とのディスカッション(最終年度となるので、成果発表と兼ねる)も9月に行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
前年度、大幅に研究費の残額が生じてしまったが、今年度は、研究費を利用してある程度研究が遂行できた。海外調査や海外の研究者とのディスカッションができなかったので、そのための支出ができなかった。また、適当な補助者が見つからず、謝金の支出ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一昨年度、昨年度できなかった海外での資料収集および海外研究者とのディスカッションを行う(最終年度になったので、成果発表とかねる)。研究をとりまとめるため、データの整理・分析に適当な補助者がみつかれば活用する(そのために、謝金が必要である)。
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