2013 Fiscal Year Research-status Report
法人実効税率計測エラーの重要性-企業の税負担としてどのような指標がよいのか-
Project/Area Number |
25380366
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
林田 吉恵 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (90631896)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 法人税 / 実効税率 / 財務データ |
Research Abstract |
①法人実効税率の考え方に関する文献研究 本研究テーマである「法人実効税率の計測エラーの推計」を行うためには、古典から近年までの様々な法人実効税率の計測方法を体系的にまとめる必要がある。まず、法人税負担を表す実効税率には、どのような計測方法があるのかを調査し、法人実効税率の考え方や計測方法を、King and Fullerton[1984]から最新の先行研究まで、財政学・法人税法の著書、論文・報告書等からサーベイした。また、実効税率の計測方法だけでなく、それらの実証分析のためのデータの作成についても、合わせてサーベイした。 ②実行可能なモデルの選択・開発 まず、①の文献研究ベースに、実効税率の計測方法の様々な理論モデルの中から、実行可能であるモデルや実効税率の考え方を検討した。その中で、税率と課税ベースの両方を取り入れているモデルや実証研究でよく採用されているモデルなどをとりあげ、そこに日本の税制を取り入れたモデルが可能かどうか、可能であればモデルの修正を行った。またこの理論モデルは、実証研究可能なものを検討した。 ③実証分析方法の検討と確定 ②で選択し、構築した理論モデルをもとに、企業の税負担として法人実効税率を検証するために、実証分析手法を検討・確定する。ケーススタディとして、選択したモデルを一番単純なモデルの形にして比較し、検証し、学会報告をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の達成度については、おおむね順調に進展している。先行研究について、統計処理方法やデータについて、研究に支障をきたす疑問点が多々あったため、日本財政学会での報告したほか、またアメリカにも出張し、貴重の意見を多数いただいた。これらの意見を参考にし、次の課題に取り組んでいきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
①実証分析方法の検討と確定 1年目での理論モデル選択から、実証モデルへの修正、実証研究実行可能への再検討を行う。法人税の実効税率モデルとして、どのようなモデルを選択すればよいのか、それぞれのモデルについての特徴をもっと検討する必要があるため、それぞれのモデルを一番シンプルな形で比較し、その特徴をまとめる必要がある。 ②データの収集・加工 実証分析に必要なデータを、財務データや統計書から収集し、加工する。データの選択について、財務データのどの勘定科目を使うのか、会計の知識をもとに慎重に検討する。特に、キャッシュ・フロー法人税を推計する場合、理論的な課税ベースを財務データを使って作成する際、慎重に検討する必要がある。また分析対象年度も合わせて検討する。データの推計については、割引率や利子率、経済的減価償却率についても、統計書から収集できないため、データを加工して推計する必要がある。その際も、できるだけ現実の企業の実態に近い値になるように、先行研究を参考に推計する。また、本研究では、公表データを使う。データの加工については、個別企業(日経財務データでは約4900社)の時系列別・勘定科目別のデータが必要になるために、データ加工用のプログラムを作成する可能性がある。 ③実証分析の実施 平成25年度に引き続き、理論モデルおよび実証モデルの修正を行いつつ、実証分析のデータが集まり次第、時系列・業種別・規模別の実効税率モデルの実証分析を行う。この結果は研究会に参加し、報告を行い、さらなるブラッシュアップを図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、アメリカに調査に行き旅費に予算を使ってしまったため、統計ソフトを買うことができなかった。その分の残金が出てしまった。 次年度の予算とあわせて、統計ソフトを購入する予定である。
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