2014 Fiscal Year Research-status Report
財政金融政策の相互依存関係とその帰結に関する政治経済学的分析
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25380373
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小西 秀樹 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50225471)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 物価の財政理論 / 世代重複モデル / 政治経済学 / デフレ / 高齢化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究成果をまとめて論文を作成し,国際学会での報告および国際査読誌への投稿を行った.学会報告は,ヨーロッパ公共選択学会,国際財政学会で行った.高齢化とデフレの問題はヨーロッパでも関心が高く,この研究で用いている物価水準の財政理論(Fiscal Theory of the Price Level)と政治経済学のアプローチには出席者からも多くのコメントが寄せられた.一方,投稿論文については,残念ながら掲載不許可となったが,レフリーから詳細なコメントもらった.とくに,多くの要素を取り入れすぎているという批判があったので,論文を根本から書き直し,まずは簡明なモデルを使って議論のエッセンスだけを説明し,その後,より込み入ったモデルと数値計算の結果を示すという形に書き換えて,改訂版を作成した.改訂版は共著者が国内外のカンファレンスや学会で報告した.また,改訂版を別の国際査読誌に投稿し,現在,その結果を待っている.また,この論文とは別に,デフレの政治経済学についての論文執筆に着手し,草稿を完成させた.この論文では,マネタリストの不快な算術や物価水準の財政理論を解説しながら,これまで日銀が行ってきた長期国債を大量に購入し準備預金を積み上げる金融政策によって現在のインフレ率を引き上げることが可能かどうか論じている.標準的な物価水準の財政理論とは異なり,短期国債と長期国債の2種類を政府が発行して財源調達を行うモデルを用いて分析を行っている.この論文は,他の研究成果とまとめて日本語書籍として出版することを構想している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究は論文にまとめることができ,査読付き国際学術誌へ投稿し,一度はリジェクトされたものの,大幅な改訂を行い,新たな投稿を行い,結果を待っている.
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Strategy for Future Research Activity |
2回目の投稿の結果を待ち,さらなる改訂を行い,公刊を目指す.改訂版を国際学会で報告し,世界各国の研究者とのフィードバックをより活発化させる.
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Causes of Carryover |
別の研究プロジェクト(私立大学戦略的基盤形成支援事業「理論とエビデンスにもとづく実証政治経済学の研究拠点の形成」)が採択されたことが14年度9月に伝えられ,その研究代表者を任されていたため,プロジェクトの立ち上げに予想以上の時間を要し,年度の後半に海外出張に行く機会を逸したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外での研究報告や海外研究者との研究打ち合わせのための旅費として使用する.
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