2015 Fiscal Year Research-status Report
障害者に対する統計的差別の実証・実験的方法による研究
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25380374
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長江 亮 早稲田大学, 政治経済学術院, 招聘研究員 (80468876)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 障害者雇用施策 / 政策評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の障害者の労働市場に統計的差別があるか否かをアンケートデータとフィールド実験を用いて明らかにすることである。 今年度は、第一に、アンケートデータを用いた研究を完成させること。第二に、フィールド実験を使用した研究を行うこと、第三に、日本の障害者雇用施策に対する包括的な研究成果を公表すること、以上の3つを目標として研究を遂行した。 アンケートデータを用いた研究は、日本版総合的社会調査(Japanese General Social Surveys)と障害者に対するアンケート調査を使用して、英文の査読付き学術雑誌への公刊を目指し、さらなる分析を進めている。 フィールド実験を使用した研究は日本ではほとんど行われていない。そのため、アメリカでフィールド実験を数多く行っている研究者の論文を参考に研究遂行の手続きを確認し、日本でのフィールド実験の実行可能性を厳密に検討した。その結果、当初計画を変更して別の形で実験的研究を行うことにし、次年度に研究費の繰り越しを行った。 日本の障害者雇用施策に対する包括的な研究に関しては、その中心的な研究となる、以前ワーキングペーパーとして公表した研究を、英文の査読付き学術雑誌への公刊を目指し、シンガポールで行われた国際学会で報告した。 以上のことから、今年度の研究成果は、障害者雇用施策の政策評価研究をWestern Economic Association International 12th International Conferenceにて公表したことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度、新卒採用者のフィールド実験から、自動車整備工の価格付けに対する研究に取り組む方向で研究計画を変更した。この時に、フィールド実験を施行する際に注意すべき点を徹底的に検討した。フィールド実験を行う場合には、倫理的な問題にとりわけ注意する必要がある。フィールド実験の方法論を解説する研究者もその点を強調している。しかし、日本には、このような研究の可否を判断する妥当な審査機関はない。このため、実験的研究は、人の容姿といった外見が偏見や差別をもたらすか否かに関する研究に取り組むことに変更した。この理由から、当初計画が大きく遅れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は、上半期に実験的研究のデザインを確定させる。並行してアンケートデータを用いた研究と日本の障害者雇用施策に対する包括的な研究の中心的な研究を英文の査読付き学術雑誌へ投稿できるように研究を遂行する。下半期には、いずれかの研究論文を学会報告すること、実験的研究を実施、論文の形に仕上げるように研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
フィールド実験の実行に伴う問題点を徹底的に調査し、本研究の妥当性を吟味した。その結果、第三者機関に審査してもらうことが最も妥当と判断した。しかしながら、日本にそのような審査機関は存在しないため、フィールド実験を取りやめ、代替的な研究計画を考察し、設計計画を立てることを行っていたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一つ目に、アンケート調査を用いた研究、昨年度国際学会で報告した研究を英文の査読付き学術誌への掲載を目指して投稿することに使用する。二つ目に、人の外見や要旨が偏見や差別につながるかどうかを検証する実験的研究を実行することに用いる。
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Research Products
(2 results)