2014 Fiscal Year Research-status Report
中国株式市場の行動ファイナンス的現象の実証研究と投資行動モデル
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25380385
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金崎 芳輔 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30204572)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中国株式市場 / リターン・リバーサル / ボラティリティ効果 / 最大収益率 / 市場の過剰反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
株価の過剰反応仮説に関係すると考えられる(1)ヒストリカル・ベータと平均収益率の関係、(2)過去の平均収益率とその後の平均収益率の関係、(3)過去のボラティリティとその後の平均収益率の関係、(4)最小分散ポートフォリオのパフォーマンスの実証分析を行った文献の調査を継続した。 昨年度行った中国株式市場に関する実証研究を論文にまとめ、レフェリー付きの雑誌に投稿し、掲載された。実証研究の内容は、次の通りである。中国上海証券取引所のA株式を対象に、過去60カ月の月次収益率のデータを使用して求めた4つの株式属性(1)ヒストリカル・ベータ、(2)平均収益率、(3)標準偏差、(4)最大収益率、これらとその後の平均収益率との間の関係を調べた。これら4つの属性に基づき毎月初に属性の値の大きさ順に五分位ポートフォリオを作成し、2000年から2011年までの12年間の運用成果を比較した。実証分析の結果を示す。結果1:どの属性でも属性の値が小さいほど平均収益率は高い。また、どの属性も属性の大きさが最小と最大のポートフォリオの平均収益率について、その差は統計的に有意に正である。結果2:属性の大きさが最小と最大のポートフォリオについて、最小のポートフォリオのシャープ・レシオは、最大のポートフォリオのそれより有意に高い。結果3:属性の大きさによる平均収益率の差は、ファマ=フレンチ3ファクター・モデルによるリスク調整をしても消えなかった。結果4:4つの属性と平均収益率の間の関係をファマ=マクベスのクロスセクション回帰で分析をした結果、過去の平均収益率と過去の最大収益率にはリスク・プレミアムが観察されることがわかった。 この研究での新しい発見は、中国株式市場に「最大収益率効果」が存在することを示した点にある。また、中国株式市場は他の国よりも強い過剰反応を示す可能性があることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献サーベイについては、過剰反応に関する実証研究のサーベイはほぼ終了したが、過剰反応仮説を説明する理論、特に累積プロスペクト理論に関する文献サーベイの進展が計画通りに進んでいない。 データの購入とデータの整理は順調に行われた。 ベータとその後の平均収益率の関係、平均収益率に関する長期リターン・リバーサルの確認、ボラティリティ効果の確認、最大収益率とその後の平均収益率の関係、についての実証研究を論文にまとめて、雑誌に投稿し掲載された。以上より、研究成果を公表する活動は順調に行われている。 ただし、実証研究で明らかにした中国株式市場参加者が過剰反応を示すことに関する行動ファイナンスに基づく投資行動の理論モデル提示に関しては、進捗が遅れている。 以上より、全体的に見て進捗状況は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、行動ファイナンスにより過剰反応を説明する理論モデルに関する文献サーベイ、特に累積プロスペクト理論に基づく投資家行動理論と実証研究に関するサーベイに力点を置くこととする。ヒューリスティックな投資方法とそれに関係する投資家行動理論の文献も探すこととする。 年1回の財務データ更新と株価系列の更新に伴うデータの整理を引き続き継続する。 データ更新に伴い、実証研究の期間を直近にまで延ばした結果の確認を行い、過去に得られた結果の頑健性の確認を行う。実証研究の設定を変化させ、たとえば毎月行うポートフォリオのリバランスを年1回とし、見直しの頻度を減らしても、属性と平均収益率との間の関係が維持されるかどうかなど、得られている結果がより頑健かどうかをテストする課題に取り組む。長期リターン・リバーサルや最大収益率効果を説明できるヒューリスティックな投資方法とその結果起こる株価の動きを説明できる投資行動モデルの構築を目指した研究を進める。
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Causes of Carryover |
今年度は、NEEDS株価・指標データの購入を見送ったため、次年度使用額により購入する必要がある。資料収集、研究打合せの出張を年度内に行わなかったため、次年度に行う必要がある。研究に必要な図書の購入についても、実施できなかったため、次年度に行う必要がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には、NEEDS株価・指標データの購入を行う。計画通り実施できなかった資料収集、研究打合せの出張を平成27年度に行う。研究に必要な図書の購入を行う。
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Research Products
(1 results)