2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25380387
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
丸茂 幸平 埼玉大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (90596959)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分布推定 / 線形制約 / ノンパラメトリック統計 / エルミート展開 / 分散効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
直交多項式展開を利用した確率密度関数の近似や推定は,精度の問題からあまり利用されてこなかった.本研究では,金融リスク計測に資するべく,直交多項式展開を利用した近似方法に関して,以下の性質を明らかにし,新たな方法を提案した. 直交多項式展開を使って密度関数を近似した場合,展開の次数を上げても必ずしも近似精度の向上につながらない点が問題となっていた.本研究では,直交多項式展開による近似が収束する条件を明示した.直感的には,確率密度関数の裾が薄く,また,その値が有界である場合収束する. 上の条件を満たさず,近似が収束しないか,あるいは収束しても収束が非常に遅い場合に,収束を加速する平滑化手法を開発した.これは,目標とする関数との距離と,重み付けをした2階微分の2乗和の線形和を目的関数として最適化を行う方法である.また,この最適化問題は解析解を持つことを示した. さらに,線形制約を課した下での密度関数の近似手法を開発した.すなわち,制約が線形汎関数を使って表されるような場合,制約下での最適化が2次計画問題に帰着できることを示した.さらに,この2次計画問題には解析解があることを示した.この問題は,データのほかに利用可能な情報が存在する場合にその情報を推定に織り込むために利用することができる. これらの成果が金融リスク管理へも応用可能であることを,実際の市場データ等を使った数値例を通じて示した.
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