2015 Fiscal Year Annual Research Report
クロスボーダーM&Aが企業価値に与える影響についての研究
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25380388
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 史子 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70347285)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クロスボーダーM&A / 経営効率性 / 財務健全性 / コーポレートガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、以下の方向で研究を拡張した。焦点は、2014年度までの分析で明らかになった、米中企業の対日M&Aの株価反応が有意に異なる理由がどこにあるのかを、様々な角度から分析することに当てた。特に、買収企業の経営効率性、財務健全性、コーポレート・ガバナンス構造の違いを中心に、これらの相違が株価反応に違いに与える影響を、定量的に分析した。経理効率性の指標としては、ROA、PBR等、財務健全性の指標としては、インタレスト・カバレッジ・レシオ、負債比率等を分析に含めた。また、ガバナンスについては、対日M&Aが外国人株主比率の上昇と関連性があることから、株主構成の違いに焦点を当てた。データの収集・計算に関わる作業については、研究室の学生の協力を得た。今回の研究により、以下の実証結果を得た。また、今回の結果については、コーポレート・ガバナンス分野の研究で実績のある、カナダ・アルバータ大学のVikas Mehrotra教授と議論し、今後も日本企業のM&A研究について、共同研究を進めることとなった。
1)米国企業の対日M&Aでは被買収企業の経営効率性が高いほど、株価反応が大きくなった。逆に、中国企業の対日M&Aでは、被買収企業の効率性が低いほど、株価反応が大きくなった。 2)米国企業の対日M&Aでは、被買収企業の財務健全性が高いほど、株価反応は大きくなった。中国企業の対日M&Aでは、明確な結果は得られなかった。 3)米国および中国企業の対日M&Aにおいて、被買収企業の株主構成が、非金融事業会社の比率が高いほど、株価反応は大きくなった。
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Research Products
(8 results)