2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380389
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 明彦 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50313226)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 為替介入 / 信用リスク調整(CVA) / デリバティブの優劣複製 |
Research Abstract |
「金融危機後の規制下でのデリバティブプライシング」では、通貨当局による為替介入を考慮した為替デリバティブのプライシングについて、介入による効果を吸収壁によって表現し、吸収壁つき拡散過程のもとでのオプションプライスの解析解を導出し、実際の市場で観測されるオプション価格について介入を考慮したプライシングとそうでない場合との比較を指導する博士課程学生と共に行った。 「Close-out 価格にカウンターパーティーリスクを織り込んだ信用リスク調整(CVA)の計算方法」では、後ろ向き確率微分方程式(backward stochastic differential equaiton)を用いた2通りの近似計算法を構成し、その近似誤差の理論的評価を行い、"Asymptotic Expansion for Forward-Backward SDEs: A Malliavin Calculus Approach"及び、"Asymptotic Expansion for Forward-Backward SDEs with a Perturbed Driver"として指導する博士課程学生と共に公表した。 「デリバティブ間のモデルによらない相互依存関係」では、デリバティブ単体に対する優劣複製の研究と価格の上下限値の改善に関する研究を指導する博士課程学生と共に行い、特に、複数の資産を原資産とするデリバティブに関する研究及びBarrier optionに関する研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「金融危機後の規制下でのデリバティブプライシング」の研究は、通貨当局による為替介入を考慮した為替デリバティブのプライシングについて、研究を計画通り平成25年度に行った。平成26年度には次の研究「流動性を考慮したオプションプライシング」に取り組む。 「Close-out 価格にカウンターパーティーリスクを織り込んだ信用リスク調整(CVA)の計算方法」の研究に関しては、評価を行うための後ろ向き確率微分方程式(backward stochastic differential equation(BSDE))の定式化および数値近似法の構成を行った。これらの研究は、計画通り平成25年度に行い、学会発表などの一定の成果をあげた。今後は、より一般的なBSDEに対して、実務に有用な近似計算方法の開発、及びその数学的正当化に取り組んでいく所存である。 「デリバティブ間のモデルによらない相互依存関係」の研究は、「デリバティブ単体に対する優劣複製の研究」と「価格の上下限値の改善に関する研究」に取り組んだ。これらの研究は、計画通り平成25年度に行い、一定の成果をあげた。これらの研究はいったん区切りをつけて、次の研究「損益の変動を小さくする研究」に着手する。
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Strategy for Future Research Activity |
「金融危機後の規制下でのデリバティブプライシング」の研究では、流動性を考慮したオプションプライシングについても研究を行う。 「Close-out 価格にカウンターパーティーリスクを織り込んだ信用リスク調整(CVA)の計算方法」の研究では、CVA計算を行うための数理的手法のさらなる高度化、実用的手法の開発を行う予定である。 「デリバティブ間のモデルによらない相互依存関係」の研究は、研究計画の変更はなく当初の予定通り、デリバティブを優劣複製した場合の損益の変動を小さくする研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた国際学会に参加することができなくなったため、予定していた海外出張関連旅費が予定を大幅に下回ったため。さらに、招聘を予定していた海外の共同研究者達が、諸事情により来日することができなくなったため。 前年に参加できなかった国際学会への渡航費用及び、国際学会開催と共同研究者招聘費用に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)