2015 Fiscal Year Annual Research Report
ユーロ圏における対外インバランスの拡大と調整メカニズムに関する研究
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25380393
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩本 武和 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80223428)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 資本フロー / 国際投資ポジション / グローバル流動性 / シャドーバンキング / ユーロ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年では、査読付き学術雑誌に投稿し、受理され、本研究を仕上げた。研究成果は、以下のようにまとめられる。 第一に、「世界的過剰貯蓄⇒グローバル・インバランス⇒世界金融危機」で定型化されてきた「経常収支黒字国=貯蓄超過国である中国や日本などから、経常収支赤字国=貯蓄不足国の米国へ」という「太平洋を跨いだ資本フロー」は、あくまでネットの資本フローに注目した神話に過ぎず、グロスの資本フローを重視すると、「経常収支赤字国(ないしは均衡国地域)である欧州から、経常収支赤字国への米国」という「大西洋を挟んだ資本フロー」が現実であった。 第二に、米国からのグロスの資本流出は、欧銀の在米支店が、米国のホールセール市場から調達した資金を、本国の親会社に送金したものであり、米国へのグロスの資本流入は、欧銀の本国親会社による米国のシャドー・バンキング・システム(以下SBSと略)を経由した貸出しであった。こうした国境を越えてホールセール市場から調達されるドル資金が、今日におけるグローバル流動性を形成している。 第三に、2010年のドット=フランク法、とりわけ同法に盛り込まれたボルカー・ルールによって銀行と証券の垣根が強化された。これはSBSから流動性を需要してきた投資銀行に対する規制である。他方、SBSに流動性を供給する側のMMFについては、2014年に米国証券取引委員会は、①固定NAVを廃止し変動NAVを採用、②市場が緊張状態に陥った場合、投資家に解約手数料を課し、解約を一時的に停止する「ゲート」を設けた。今後の国際金融規制としては、①GFC前に流動性が過剰(過大なレバレッジ)であったことに鑑み、自己資本比率規制より直接的な「レバレッジ規制」、②GFCに直面してヘアカット急騰し100%にまで達し流動性が枯渇(極端なデレバレッジ)していたことに鑑み、資産のうちいつでも現金化できる部分の比率を上げる「流動性規制」が重要になろう。
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Research Products
(2 results)