2016 Fiscal Year Annual Research Report
Determinants of Corporate Pension Plans in Japan
Project/Area Number |
25380399
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
村上 恵子 県立広島大学, 経営情報学部, 准教授 (90325142)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 退職給付制度 / 企業年金 / 確定拠出年金 / 年金ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,導入している企業年金制度別に各企業の特徴を明らかにすることである。研究1~2年目は,上場企業を対象に,確定拠出年金制度の発展段階別に,制度導入企業の特徴を分析した。その結果,確定拠出年金制度導入初期は従業員数が多い企業が制度を導入し,制度普及期は積立不足率が高い企業が制度を導入,そして制度見直し期に入ってようやく従業員数が少ない企業が制度を導入したことを明らかにした。 研究3年目および最終年度は,非上場企業を対象に,企業年金の導入実態別に企業の特徴を探ることを目的に研究に取り組んだ。企業年金導入実態別に上場企業の特徴を探る研究は複数の研究者によって行われているが,非上場企業の特徴を分析した研究は存在しない。この点が本研究の独創的な点だと言える。分析の結果,将来の退職給付額が確定されない確定拠出型の制度に関しては,制度を導入している企業と導入していない企業の間に,財務上,企業規模上,退職給付上の差異はないことが確認できた。一方,将来の退職給付額が確定している確定給付型の制度においては,制度を導入している企業と導入していない企業の間で企業規模や積立不足において差異が見られた。この結果は,同様の分析を上場企業について行った先行研究の結果と異なるものである。 本研究によって,企業年金制度改革が上場企業と非上場企業に異なる行動を取らせる可能性が示されたが,このことは制度改革の議論がより慎重に進められる必要があることを示唆するものである。 また,企業型確定拠出年金導入企業の行動を投資メニューの選択の観点から分析し,確定拠出年金導入企業が加入者の利益よりも企業の利益のために投資メニューを選択している可能性,我が国の確定拠出年金ガバナンスが機能していない可能性についても指摘した。
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