2015 Fiscal Year Annual Research Report
欧州中央銀行による非標準的金融政策の波及経路とその効果
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25380416
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
高屋 定美 関西大学, 商学部, 教授 (60236362)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 資産買取プログラム / マイナス金利 / 欧州中央銀行 / 非標準的政策 / 量的緩和政策 / 欧州債務危機 / コミュニケーション政策 / CDSプレミアム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では欧州債務危機下でのECBによる非標準的政策の枠組みとその効果をテーマにして研究を続けてきた。本年度は最終年度であり、研究成果をまとめることに専念した。まず欧州債務危機の影響を検証するために、昨年度行っていたCDSプレミアムの決定要因、CDSプレミアムの伝染効果に関する研究を再吟味した。 さらに、2014年6月から実施されているマイナス金利と、2015年3月から開始された資産買取プログラム(いわゆる量的緩和政策)の影響を検証した。具体的にはマイナス金利政策と資産買取プログラムを導入したそれぞれの背景をプレスリリースおよび議事録要旨などを手掛かりに調査した。そして、マイナス金利および資産買取プログラムの金融市場への効果を検証するために、日次データによるVARモデルを用いて検証した。その結果、時間はかかるものの期待インフレには正の効果、株価などにも正の効果を与えることがわかった。 また金融市場だけでなく実体経済を含めた影響を検証するため、政策変数と実体経済の変数、そして金融市場の変数を用いたVARモデルを用いた。その結果、実体経済への影響は薄いことがわかった。ただし、今後、マイナス金利および資産買取プログラムの効果が浸透する可能性も否定はできない。 以上の結果を含め、本研究全体をまとめるために、単著の研究書として『検証 欧州債務危機』を2015年末に出版した。また2016年4月には研究会での報告を、また5月にも学会発表を行う予定である。
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