2015 Fiscal Year Annual Research Report
銀行のコーポレート・ガバナンス:ミクロ計量分析と全国実態調査によるアプローチ
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25380418
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
森 祐司 九州共立大学, 経済学部, 准教授 (00526428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大熊 正哲 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (60507987)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金融論 / 地域経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に実施した研究としては、地域銀行の社外取締役導入の決定要因について分析した。そこでは事業の複雑性が決定要因として強く影響し、銀行の戦略面の複雑さを示す多角化が進むほど、社外取締役の導入が進む傾向を示唆した。また、代表在任年数が長い場合など、経営者の交渉要因についても、社外取締役導入に影響を与えている可能性があることも分かった。さらに、機関投資家保有比率が高い地銀では、社外取締役導入に与える影響は顕著であり、機関投資家保有比率が高い場合は、特に組織面の複雑さに反応する形で、社外取締役導入がより促進される傾向が示された。地域銀行も機関投資家という外部ガバナンスからのプレッシャーを経営陣が感じた結果、内部ガバナンスを改革している可能性があることが示された。 次に、取締役会の規模(人数)と社外取締役の存在が経営パフォーマンスに与える影響への分析も行った。結果、取締役規模が大きいほど、負の効果をもたらすという結果が得られ、取締役会の規模が大きいと、地域銀行においてもコーディネーション問題、あるいはフリーライド問題を起こしている可能性が示唆された。さらに、地域銀行においては社外取締役の人数・比率が大きくなると、その経営パフォーマンスに正の効果をもたらすことが分かった。社外取締役がある程度は期待された効果をもたらしている可能性も示唆され、その機能として、モニタリング機能が要求されるような場面よりも、戦略的展開が複雑な場合などでアドバイス機能の側面で発揮されている可能性が示唆された。 研究期間全般を通しては、執行役員の導入についての分析も行い、地域銀行の内部ガバナンスには、組織体制やその戦略などの複雑な要素が絡み、また外部ガバナンス(機関投資家株主)からの影響も無視できないことも確認した。
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