2013 Fiscal Year Research-status Report
1910~20年代、モンゴルの近代国家形成と財務官僚-土地法確立過程を中心に
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25380422
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
広川 佐保 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90422617)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | モンゴル / 土地制度 / ボグド・ハーン政権 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1911年に清朝から独立を宣言したボグド・ハーン政権において、財務省が立案した経済政策、およびモンゴル人財務官僚の活動を分析することにより、外モンゴル(ハルハ)における社会変革を検討することにある。1910~20年代、ボグド・ハーン政権は近代的国家の樹立にむけて経済体制の改革を試みたが、これらの改革は清朝時代の旧慣を土台としつつ、「近代的」政策と融合しながら重層的に展開していった。本研究は、経済政策の基盤をなす土地政策に着目することで、一連の改革が外モンゴルに与えた社会経済的変革を明らかにするとともに、その結果、外モンゴル遊牧社会の経済体制がどのように方向づけられていったのかを実証的に解明することを目標としている。 平成25年度は、まず(1)モンゴル国の刊行史料をもとに、1910年代における、ボグド・ハーン政権の経済政策について、初歩的な整理をおこなった。次に(2)これらと文書館史料を分析することにより、1910~1920年代にボグド・ハーン政権が近代的国家の樹立にむけて実施した経済政策について分析を行い、土地政策の実施過程について基礎的考察を試みた。以上の分析を通じて、近代、ハルハ・モンゴルにおける土地制度の重層性の一端を明らかにすることができた。この成果は、論文「近代ハルハ・モンゴルにおける土地制度の系譜とその展開」としてまとめ、刊行することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究ではハルハ・モンゴルのボグド・ハーン政権において、財務省が立案した経済政策、およびモンゴル人財務官僚の活動を分析し、外モンゴル(ハルハ)における社会変革を検討することにあるが、現在の達成度は下記の通りである。 まずモンゴル国の刊行史料、および文書館史料を用いて、1910~1920年代にボグド・ハーン政権が近代的国家の樹立にむけて実施した経済政策について整理を行い、土地政策の実施過程について初歩的考察を試みた。これにより近代、ハルハモンゴルにおける土地制度の重層性を明らかにするとともに、この成果を論文「近代ハルハ・モンゴルにおける土地制度の系譜とその展開」としてまとめることができた。しかしながら平成25年度は、産休・育休取得により研究を中断したため、国内・国外調査を中止した。これら中断した計画については、平成26年度以降、適宜繰り越して研究を進めることにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、まず平成26年度は、日本における調査を中心としつつ、研究を進める計画である。具体的には、これまでモンゴル国等の史料館において収集した財務省関連史料の分析をすすめ、国内史料館において調査をおこなう予定である。 平成27年度は、平成25年、26年度に計画していた国外調査を実施するとともに、史料の分析を本格的にすすめる計画である。また、平成28年度は、27年度と同様、国外、および国内調査を実施する予定である。これと同時に研究成果の公表を随時行う計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
産休・育休取得により、研究を中断したため。 今後の科研費の使用計画として、研究計画を適宜繰り越して実施する計画である。平成26年度は、日本における調査を中心としつつ、研究をおこなう計画であり、これまでモンゴル国等の史料館において収集した財務省関連史料の分析をすすめる。平成27、28年度は、平成25年、26年度に計画していた国外調査を実施するとともに、史料の分析を本格的に実施する計画であり、これと同時に研究成果の公表を随時行う計画である。
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