2013 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ農業とアメリカ金融資本の歴史的相関ーー未公刊一次資料に基づく実証的基礎研究
Project/Area Number |
25380428
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 房雄 広島大学, 社会(科)学研究科, 名誉教授 (90104869)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経済史 / 世襲財産 / フィデイコミス / アメリカ債 |
Research Abstract |
「ドイツ農業とアメリカ金融資本の歴史的相関ーー未公刊一次資料に基づく実証的基礎研究」に関する初年度の研究経過と成果は、以下のとおりである。① 図書館調査を踏まえた文献・資料の整備については、「フィデイコミス(Fideikommiss)と森林」の関係に注目して、「ベルリン図書館」(Staatsbibliothek zu Berlin)を中心に行った。世襲財産の廃止問題をめぐるE. Kuebler, O. Klaessel u. K. Koehler, H. Modersohn, K. Koehler u. E. Heinemannらの古典的文献を検索できただけではなく、E. ConzeならびにH. Fischerによる最新の研究成果を知ったことが成果であった。② 文書館調査としては、東プロイセンのドーナ家の史実から探り当てた「アメリカ債」(Amerika-Anleihe)の重要性に止目して、ベルリンの「ドイツ連邦文書館」(Bundesarchiv Berlin)において、その一次資料の発掘に努めた。同文書館は、旧ドイツ・ライヒ「財務省」の夥しい原資料を所蔵する点で、ベルリンの「地代銀行」(Rentenbank-Kreditanstalt)とニューヨークの「ナショナル・シティー銀行」(National City Bank)をドイツ・アメリカ双方の当事者として発行された「アメリカ債」関連資料の宝庫である。③ 研究成果として三つの論文を発表したが、とりわけ、ドイツ語の論考Fideikommiss und Wald in Preussen unter besonderer Beruecksichtigung der Aufloesung des Waldfideikommissesを、平成26年3月に公表できたことが、平成25年度の成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、以下の六つの作業を中心として計画されている。① ドイツでのレビュー・討論、② 基礎的重要文献の収集(図書館調査)、③ 未公刊一次資料の収集と解読(文書館調査)、④ データのパソコン入力、⑤ 論考の執筆、⑥ 研究会の継続。平成25年度は、このうち、①と⑥を行いながら、②に主眼を置く予定であった。事実、「ベルリン図書館」において、上記「研究実績の概要」に記した調査を行い、ほぼ予定どおりの成果を上げることができた。これに加えて、平成26年度の主要課題に示した③の課題を先取りして、「ドイツ連邦文書館」において、「アメリカ債」関連資料の在りかを探るとともに、⑤についてもまた、「研究実績の概要」に挙げたドイツ語の論考を発表し、研究は、「当初の計画以上」に近い水準で「順調に進展している」。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降の研究実施計画は、「交付申請書」に記載のとおりであるが、現在までの達成度が「順調」な進捗状況に鑑み、今後は、毎年、次年度の主要課題を先取りするペースを基本にして、研究を推進する予定である。したがって、平成26年度については、③の文書館調査を集中的に行いたい。当初の目論見以上に豊富な関連資料を所蔵する「ドイツ連邦文書館」における調査が、当面の中心課題である。具体的に言うと、平成25年度に調査したライヒの「財務省」(Finanzministerium)資料だけではなく、新たに、ライヒの「会計検査院」(Rechnungshof)資料を調査対象に加えて、③の重要課題を実行する。
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