2014 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ農業とアメリカ金融資本の歴史的相関ーー未公刊一次資料に基づく実証的基礎研究
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25380428
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 房雄 広島大学, 社会(科)学研究科, 名誉教授 (90104869)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経済史 / 世襲財産 / フィデイコミス / アメリカ債 |
Outline of Annual Research Achievements |
「ドイツ農業とアメリカ金融資本の歴史的相関ーー未公刊一次資料に基づく実証的基礎研究」に関する第二年度の研究経過と成果は、以下のとおりである。① 図書館調査を踏まえた文献・資料の整備については、「ロンドン債務協定(1953年)の前史とアメリカ債Amerika-Anleihe」の問題に注目して、おもに「ベルリン図書館」(Staatsbibliothek zu Berlin)において計二回行った。ワイマル共和制下の独米関係とドイツ金融史をめぐる諸問題、そして、東部ドイツ農業の再建と「アメリカ債」の関連を理解するために必要な、H. J. Abs, Ch. Buchheim, K. E. Born, J. Jacobson, G. D. Feldmannらの基礎的文献を幅広く閲覧・収集できたことが成果であった。② 文書館調査としては、ベルリンの「ドイツ連邦文書館」(Bundesarchiv Berlin)において、ドイツ・ライヒの「会計検査院」(Rechnungshof des Deutschen Reiches)関連資料に狙いを定めて、数年来の継続的課題である「アメリカ債」の原資料を探索した。③ 研究成果として、二つの論文を発表し、さらに、本研究全体の総括を意識しつつ、論考「1920~30年代のドイツにおける債務問題の実体と帰趨ーー『ロンドン債務協定』(1953年)の前史と『アメリカ債』」を執筆して、学会誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、以下の六つの作業を軸にして計画・構想された。① ドイツでのレビュー・討論、② 重要文献の閲覧・収集(図書館調査)、③ 未公刊一次資料の探索と解読(文書館調査)、④ 解析済みデータのパソコン入力、⑤ 論考の執筆、⑥ 研究会活動の継続。平成26年度は、このうち、①と⑥を継続しながら、②ならびに③に主眼を置く予定であった。事実、「ベルリン図書館」と「ベルリン文書館」において、上記の「研究実績の概要」に示した計画どおりの調査を行い、所期の成果を上げることができた。これに加えて、平成27年度の主要課題である③をほぼ完了するとともに、最終年度の平成28年度に行われるべき⑤についてもまた、論考の完成に向けた作業を相当程度推し進めて、研究は、「当初の計画以上」に近い水準で「順調に進展している」。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降の研究実施計画は、「交付申請書」に記載のとおりであるが、現在までの達成度がおおむね「順調」な進捗状況に鑑み、今後は、毎年、次年度の主要課題を先取りするペースを推進方策として、研究を進める予定である。したがって、平成27年度については、②の図書館調査と③の文書館調査だけではなく、④のデータ入力も基本的に完了して、⑤の重要課題に専念する。具体的に言うと、「研究実績の概要」に挙げた論考を完成させること、そして、「アメリカ債」の問題を加味した「世襲財産Fideikommiss」関連のドイツ語論考を仕上げることが、本年度の課題である。
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