2013 Fiscal Year Research-status Report
第二次世界大戦期における航空機用ガソリンの国際的な技術移転
Project/Area Number |
25380432
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三輪 宗弘 九州大学, 記録資料館, 教授 (30279129)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 航空機用ガソリン / 人造石油 / 米国戦略爆撃調査団 / 技術移転 / I.G. Farben |
Research Abstract |
8月に訪問した米国国立公文書館IIでは、RG333の中にあるAviation Petroleum Production Allocation Committeeを読み込み、米国から英国への航空機用ガソリンの補給の実態と技術移転について調べた。あわせて米国からソ連やオーストラリアへの石油製品や技術移転についても関連する文献を調べた。米国国立公文書館本館では戦時中に行われた上院公聴会の「特許」に関する記録特にドイツのI.G.FarbenとStandard Oilの特許取決めに関するものを調べて、コピーした。米国議会図書館ではPBレポートの基になったドイツ語のオリジナル資料をマイクロフィルムで閲覧した。IGとStandard石油NJに関連する文献も読んだ。上院公聴会のPatents関連は膨大な量であり、Stanndard石油がドイツのI.G.社とカルテルを結び、技術の公開を阻んだという視点で描いている。 9月に訪ねたオーストラリア国立公文書館、国立図書館、戦争記念館で、米国からオーストラリアへの石油特に航空機用ガソリンの補給の実態を調査した。たまたま偶然、米国戦略爆撃調査団の行った、日独の技術交流関係の調査記録があり、人造石油に関するドイツ人技術者の聴取の記録をコピーした。オーストラリアが米国から日本に関する情報の提供を受けていることが分かった。 ドイツのフランクフルトで3月16日17日に開催された国際経営史学会設立準備大会では、日本の航空機用ガソリン製造技術が米国から主に導入され、日本とドイツの間にほとんど技術移転がなされず、技術情報の交換もなかったということを報告した。技術移転に関するパネルであったため、幅の広い観点から質問を受けた。ドイツではPauer Mathias先生に会い、ドイツ人造石油やI.G. Farbenに関する情報を交換した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オーストラリア国立公文書館と米国国立公文書館で資料調査がすすみ、RG333のviation Petroleum Production Allocation Committeeの資料により、連合国の航空機ガソリンの補給の実態がほぼつかめた。データの入力を行う必要がある。 ドイツで開催された国際経営史学会で報告を行い、ドイツと日本との間で技術情報の交換がほとんど行われずに、米国からの技術導入により、航空機用燃料を生産していたことがわかった。 米国上院が戦時中に行った公聴会の分量が膨大であるために、全貌を把握する必要がある。この点は課題である。この公聴会はヒットラーのドイツのI.G.Farbenに米国の企業であるStandard Oil(NJ)が協力したという批判的な論調になっている。資料をじっくり吟味する必要がある。米国国立公文書館本館と米国議会図書館でダウンロードできることがわかり、入手した。今後読み込む必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
米国国立公文書館でコピーしたRG333の中にあるAviation Petroleum Production Allocation Committeeの読み込みを進め、米国が連合国への石油補給をほぼ一手に担い、技術も抜きんでていたことを明らかにする。米国上院が戦時中に行った特許に関する公聴会の資料を精査し、米独企業の技術交流の限界を明らかにする必要がある。 平成26年度は英国国立公文書館でAviation Petroleum Production Allocation Committeeやロイヤル・ダッチ・シェルやアングロイラニアン石油のイソオクタン製造技術を調べる。またPBレポートのFIATやBIOSに関する文献を調べる。 日本国内では戦時中に占領したボルネオやスマトラのシェルやスタンダードの製油所からどのような技術を取り込んだのか明らかにする。 これまでに収集した資料から生産データや海外に輸出された(海外から輸入した)量をデータ入力する。米国が連合国へ補給していた実態をデータで示す。
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Research Products
(2 results)