2014 Fiscal Year Research-status Report
第二次世界大戦期における航空機用ガソリンの国際的な技術移転
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25380432
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三輪 宗弘 九州大学, 記録資料館, 教授 (30279129)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 航空機用ガソリン / 米国戦略爆撃調査団 / 技術移転 / Royal Dutch Shell / イソオクタン合成法 / フドリー法 / オクタン価 |
Outline of Annual Research Achievements |
英国国立公文書館TNAでは、英国の化学企業ICIはじめ同国の航空機用ガソリンの製造法、生産量を年次・月次レベルで調べた。英米両国の協力による、Abadanにおける製油所建設と生産量も調べた。特に大戦中に飛躍的に航空機用ガソリンが質量ともに順調に生産されるにいたる経緯を詳細に跡付けた。その反面、英国国内での航空機用ガソリンの製造が伸びないということも生産量から明らかになった。他にTNAでは、イギリスサイドからみた、英米の航空機燃料の分配のAPPAC(Aviation Petroleum Products Allocation Committee)の資料を複写した。大英図書館BLでは、Royal Dutch Shellの製油所の製造方法や生産高に関する文献(社史や報告書も含む)や論文を読んだ。 帝国戦争記念館では、米国戦略爆撃調査団の日本の生産量予測のレポートを読んだ。UOPの化学者を研究しているPeter Varey氏とUOP社のイソオクタン合成法やフドリー法で情報交換も行った。 米国国立公文書館を前年度に引き続き訪問し、RG333のAPPAC関連資料製造技術・生産高・海外への輸出量に関する記録を不鮮明な個所を中心に調べた。米軍が押収したドイツのソ連の調査「THE INDUSTRY OF THE USSR」(RG457, E#:A1 9032, Box:765)の中にソビエト連邦の航空機用ガソリンや原油生産に関するものがあり、すべて複写した。ソ連の生産技術や生産量の概要が把握できた。また米陸軍が1945年9月10月に行った「REPORT ON SCIENTIFIC INTELLIGENCE SURVEY IN JAPAN」には日本の技術水準が多角的に分析されていたので、全部複写した。(旅費は個人研究費で、複写は科研費) 海外アーカイブで撮影や複写したものを読み込む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
企業側の資料の収集がまだすすんでいない。企業レベルの研究が社史レベルの域にとどまっている。UOP社 ROYAL DUTCH SHELL社などにコンタクトを試みたが、資料閲覧の許可が下りなかった。平成27年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで蒐集したデータの読み込みをすすめる。世界的な生産とその製造法を跡付け、技術移転がどのように展開したのか、跡付ける。特にアメリカから世界各国に技術が移転されたということを明らかにする。 ロンドンの英国国立公文書館、ワシントンDCの米国国立公文書館で資料を閲覧すると同時に、企業レベルの資料を積極に捜す。またシェル本社やUOP社に再度コンタクトをとり、企業資料の閲覧許可をお願いする。 これまで2年間の資料収集の成果を学会や研究会で報告し、あわせて論文として纏めあげていく。
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Research Products
(2 results)