2014 Fiscal Year Research-status Report
戦争と食糧難-太平洋戦争前後における食糧消費の窮乏化に関する実証的・総合的研究-
Project/Area Number |
25380446
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
大豆生田 稔 東洋大学, 文学部, 教授 (20175251)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 経済史 / 日本史 / 太平洋戦争 / 食糧 / 生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、太平洋戦争とその前後の時期を対象に、市民生活の根底を揺るがした「食糧難」を実証的に解明するため、食糧を主食に限定し、(a)食糧需給の基本構造、(b)政策の対応と限界、(c)文献史料による食糧難の跡づけ、の3課題を具体的に設定し、(i)1940年前後、(ii)太平洋戦争末期、(iii)戦後1948年頃まで、の3時期に区分して検討することを目的とする。本年度の研究実績は次の通りである。 (1)資料の調査・収集:上記の(a)について、国内資料所蔵機関(東京周辺の機関等)において需給構造に関する基本的な資料を、米国国立公文書館(ワシントンDC)において日系商社(三井物産・三菱商事)による北米(および豪州)小麦・小麦粉の対日輸出に関する資料を調査・収集した。(b)について、太平洋戦時下の食糧営団について、神戸市立中央図書館、神戸市文書館において兵庫県食糧営団に関する資料を調査・収集した。(c)について、太平洋戦争末期から戦後直後の時期について、朝日新聞、読売新聞等の関係記事を検索し収集した(検索には(a)(b)の結果を参照)。また、石川武美記念図書館(主婦の友社)において、同館が所蔵する婦人雑誌等を調査し、戦時から戦後直後の食生活・食糧事情に関する記事を抽出した。 (2)収集資料の整理・分析:米国国立公文書館、オーストラリア国立文書館で収集(撮影)した資料のリストを作成し、データの一部を入力した。(c)の作業結果は仮に、一件ごとに印刷し主題に応じて年代順に配列した。 (3)研究成果の公表:前年度に公刊した論文に関連して、太平洋戦争の時期に、「国内」(本国と植民地朝鮮・台湾)の食糧不足に対処するため緊急輸入された東南アジア産の外米について、その供給に依存し外米を「受容」する一方で、食糧増産と消費節約によりその「脱却」を目指す言説について論文をまとめ、研究成果の一部を公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)資料の調査・収集:(a)~(c)に関する資料収集はほぼ予定通りである。新聞記事の検索作業については、(i)(ii)期とともに、戦後の(iii)期についても作業を進めた。(c)について、戦時~戦後の食糧難の実態を示す新聞記事等は比較的乏しく、市民生活に関する婦人雑誌等の記事により補うこととした。 (2)収集資料の整理・分析:海外での収集資料は撮影コマ数が多量となり、そのリスト化の作業に経費を充当した。 (3)研究成果の公表:本年度は戦時の外米について論文をまとめた。さらに、戦時~戦後の食糧難の実態や食糧配給の組織について、研究成果の公開を進めたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度も当初の研究計画・方法に従って本研究を進める。ただし次年度は、資料調査・収集の作業を前提に、研究の取りまとめに力点を置き、本研究全体の進捗をはかる。
|
Research Products
(1 results)