2013 Fiscal Year Research-status Report
戦間期と高度成長期における鉄鋼の企業間取引の比較研究
Project/Area Number |
25380447
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
金 容度 法政大学, 経営学部, 教授 (70350212)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本経営史 / 日本経済史 / 鉄鋼 / 企業間関係 / 取引 / 高度成長 / 戦間期 / 比較研究 |
Research Abstract |
平成25年度には、戦間期日本における鉄鋼の企業間取引の文献を集中的に収集、分析した。まず、鉄鋼の需要側の造船業・造船企業の公表資料や経営1次資料の収集を行った。具体的に、三菱史料館に所蔵されている三菱造船の取締役会議事録など経営1次資料を収集、分析すると共に、同史料館を経由して、三菱重工業の社史編纂の原資料にアプローチして戦間期の資料を収集した。また、戦間期の鉄鋼商社や問屋の資料源にもアプローチし、造船用鋼材の取引に関連する資料を収集するとともに、三菱商事の支店長引継ぎ文書など1次資料を収集、検討した。 鉄鋼の供給側の資料については、旧日本製鉄から1次史料を譲渡され、保存している九州国際大学(北九州市)を訪問して、八幡製鉄所及び日本製鉄の戦間期の鉄鋼販売に関する資料を収集、検討した。加えて、東京大学経済学部図書館に所蔵されている戦前八幡製鉄所の販売資料を収集、分析した。 研究成果の中間報告として、東京大学での経営史研究会で、戦間期の造船用鋼材取引について2回の報告を行った。なお、戦前期と高度成長期の日本の鉄鋼取引の研究成果を国際比較の中で実証的に位置づけるため、アメリカの鉄鋼業史についての資料源にアプローチすると共に、米鉄鋼業史の研究者と意見交換を行った。具体的に、米ピッツバーグのHistorical Society of Western Pennsylvaniaに所蔵されているCarnegie Steel Paperを閲覧し、鉄鋼の企業間取引に関連する史料を収集すると共に、同Societyのアーキビストと日米鉄鋼業の比較史についての意見交換を行った。また、ISA(Industry Studies Association)の拠点であるピッツバーグ大学経済学部で、鉄鋼業の研究を蓄積してきた研究者グループと、鉄鋼取引史の日米比較についてのワークショップを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、戦間期の鉄鋼取引についての研究成果を平成26年度以降に公刊することであったが、すでに平成25年度に一部の研究成果をまとめ、所属研究機関の紀要に掲載した(金容度「鉄鋼の設備投資と取引の関連についての史的考察―両大戦間期を中心に―」『 イノベーション・マネジメント』(Journal of Innovation Management)(法政大学イノベーション・マネジメント研究センター)、No.11、 2014年3月)。また、高度成長期の自動車用鋼材の企業間取引について研究成果が纏められ、海外学会での英文報告が可能な段階に達している。資料収集の面でも、戦間期の電機機械用鋼材の取引についての史料発掘や分析が計画より進んでおり、平成26年度に論文化が可能な段階にある。なおかつ、戦間期と高度成長期の日本の鉄鋼取引の経験をアメリカの経験と比較できる手がかりとして、アメリカ側の鉄鋼取引についての史料収集も計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究調査成果を踏まえて、平成26年度にも、戦間期の鉄鋼取引史料の追加調査を行うと共に、研究成果の発表、公刊を行う。 資料収集については、三菱重工業の造船所を訪問して資料を収集する上、電機機械企業の公表資料や経営1次資料を収集、分析する。具体的に、三菱史料館に所蔵されている戦間期の三菱電機の取締役会議事録等の1次資料を収集すると共に、日立製作所の鋼材調達についての1次資料の収集、分析を行う。それに加えて、戦間期の商社や問屋の活動についての史料を追加収集、検討すると共に、電機機械用鋼材の取引に関連する資料も追加収集する。また、平成25年度に訪問した九州国際大学で史料の追加収集を行うと共に、戦後高度成長期の自動車用、造船用鋼材の取引に関わる追加的な史料の収集を行う。 また、平成26年度には、研究成果を論文の形で発表すると共に、海外学会での発表をも行う。まず、戦間期の造船用鋼材の企業間取引についての研究成果を論文に纏める上、戦間期と高度成長期の鉄鋼取引を比較する論文を完成、公表する。それと並行して、鉄鋼業についての国際的な研究者が多数布陣するISA(Industry Studies Association)の年次大会(米オレゴン州ポートランド)で高度成長期日本の自動車用鋼材の企業間取引について研究報告する。
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Research Products
(2 results)