2014 Fiscal Year Research-status Report
環境変動に対する組織適応プロセスのミクロ・マクロ統合的理論構築と定量的実証分析
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25380458
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
稲水 伸行 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (50572830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 光啓 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (80572833)
鈴木 信貴 長岡技術科学大学, 経営情報系, 准教授 (70572832)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経営組織 / 組織学習 / 管理者行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生産職場を主な対象として、ミドルに位置するリーダーの行動実体を様々な定量化手法を用いたフィールド調査で明らかにした上で、シミュレーション手法によるモデル化を行い、ミクロ(個人)とマクロ(組織)の統合的視点から新たな組織適応理論を構築することを目的としている。 平成25年度に引き続き、平成26年度においても、自動車企業X社を中心としたフィールド調査とデータ収集、解析を行った。特に、グループリーダーのコミュニケーション・ノートに関するテキスト分析を通じて、リーダーの持つ人的ネットワークが中長期的な生産性の維持に貢献することを明らかにした。この成果は、オペレーションマネジメントの国際学会EurOMAの第21回国際会議(於 イタリア・パレルモ)で審査の上採択され、報告を行った。 また、グループリーダーを中心とした組織の環境適応プロセスを定量的に把握するための尺度や質問紙を設計し、電機産業を対象とした大規模調査も実施した(電機連合との共同研究プロジェクトを行い、およそ100事業所、300名のグループリーダー、3000名の現場作業者を対象とした)。その結果、環境変動とグローバル競争の中で高い競争力を維持している生産組織の特徴を見出すことに成功した。この成果は、和文(新宅ほか, 2014)・英文(Inamizu, forthcoming)の査読付学術誌に掲載されたほか、国際学会(EurOMAの第22回国際会議 於 スイス・ヌシャテル)でも審査の上採択され、報告する予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自動車企業X社における綿密なフィールド調査から得られた知見を、企業や産業の枠を超えて広く検証することが本年度の1つの目標としていたが、電機産業という自動車産業とは異なる産業を対象に、しかも100近い企業・事業所を対象に大規模な調査を実施することができた。 今後は、これらをシミュレーション等を用いてモデル化するなどして、学術・実務の双方において成果を還元することが求められる。特に、国際学会・国際学術誌を中心に成果を問うことが求められるが、国際学会でも高い評価を得ており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
電機産業を中心として行った大規模調査を継続して、質問紙の尺度の信頼性・妥当性を確かめていく必要がある。 また、これらの調査から得られた知見を総合し、シミュレーション等によりモデル化して行くことが求められる。 さらに、これらの成果及び、既に国際学会に採択された成果を加筆修正し、英文査読誌に投稿・掲載を目指すことも必要である。
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Causes of Carryover |
主な理由としては、大規模な質問紙調査の実施コスト(データ入力も含む)が当初計画よりも少額で済んだためである。また、国際学会応募論文および英文査読投稿論文の英文校閲費として使用予定であったが、論文作成に時間がかかり、次年度の繰越となったためである。そのほか、研究分担者の1名が、国際学会開催と研究機関の異動や家族の看病等の事象が重なってしまい、国際学会報告への参加等が難しくなったという理由が挙げられる(ただし、報告自体は他の共同研究者によって実施した。また、その後は、査読論文執筆やその他の学会応募論文の執筆等に継続的に参加している)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後のさらなる調査ための費用が必要である。また、すでに国際学会での報告が採択されており、そのための参加費用も必要となる。さらに、調査結果の論文投稿のために英文校閲費用も必要であり、これらの費用として使用予定である。
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Research Products
(5 results)