2015 Fiscal Year Research-status Report
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25380464
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 博文 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (50312814)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サプライチェーン・マネジメント / オペレーション管理 / 経営学 / 企業連携 / リスクマネジメント / サービサイジング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、第一の研究課題のサプライチェーンの頑強性について、International Journal of Production Economics に投稿していた論文、“The effect of risk aversion on distribution channel contracts: Implications for return policies” について、改訂を重ね、採択にいたった。この論文は、サプライチェーンの垂直的な構成者のリスクに対する態度が、売買における返品ポリシーの契約にどのような影響を与えるかを論じたものである。サプライチェーン全体の機能を向上させるために、その構成者の意思決定活動を調整する必要がある。リスクに対する態度については、既存論文では、risk neutralの仮定が多く用いられるが、この論文では、risk aversionの場合を検討し、その複雑な影響を論じている。例えば、既存論文に反して、売り手と買い手の両方がrisk averseの時に、その両者が返品ポリシー契約を望むことを示した。第二の研究課題であるサービサイジングについては、コンバインドサイクル・ガスタービンの製造業者である、三菱日立パワーシステムズ社において、サービサイジングについての共同研究を行った。共同研究として、アフターセールスサービスで重要となる、高温部品の補充部品在庫管理とサステイナビリティー・レポーティングについての研究を行い、2本の論文をThe 5th International Symposium on Operations Management and Strategy 2015において、発表し、その論文集に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一のサプライチェーンの頑強性の課題については、トヨタのサプライチェーンにおける車載マイクロコントローラーの事例をもとに、大規模災害に対するサプライチェーンの頑強性に関する製造業のリスク管理方法について、製品アーキテクチャー、既存のサプライヤー管理の方法等の一連の製造管理の方法を考慮して考える必要があることを明らかにした。また、サプライチェーンに頑強性をもたらす、水平連携と垂直連携の統合については、製造業の水平連携のための契約デザインの理論的な研究は完了した。さらに、垂直連携と水平連携の統合について研究を進めており、現在その成果をまとめている。第二のサービサイジングの研究課題については、三菱日立パワーシステムズとの共同研究を通じて、コンバインド・ガスタービンの製造とアフターサービスについて、詳細なフィールド調査を行い、サービサイジングにおいて、特に、高温補充部品のコストが高く、その補充部品の補修と在庫管理が重要であることが分かった。そこで、基本的な在庫管理シミュレーションモデルの開発を行った。また、ガスタービンビジネスにおいて、サステイナビリティ・レポーティングが業界トップ3社で異なっていることが分かり、その違いを明らかにした。この両方の研究成果をして、2本の論文をThe 5th International Symposium on Operations Management and Strategy 2015において、発表し、その論文集に掲載した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、本研究プロジェクトの最終年度となる。第一の研究課題のサプライチェーンの頑強性の研究についは、大震災とトヨタの対応についてのケーススタディー、サプライチェーンにおける水平統合の理論構築、リスク態度の影響についての研究は完了している。したがって、本年度は、最後のトピックである垂直連携と水平連携を包括的に扱う理論的なモデルの開発を完了する予定である。その研究成果は、The 6th International Symposium on Operations Management and Strategy 2016とThe 5th World Production and Operations Management Conference P&OM Havana 2016で発表する。第二の課題のサービサイジングの研究については、平成26年度に行った三菱日立パワーシステムズとの共同研究を基に、コンバインドサイクル・ガスタービンのサービサイジングについての理論構築の研究を行っている。この研究に関しては、平成27年から、Washington University in St. LouisのProfessor Panos KouvelisとCity University of Hong KongのProfessor Yixuan Xiaoとの共同研究体制を組み、アフターセールス・サービスの長期契約デザインについての理論的な研究を進めている。
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Causes of Carryover |
交付申請書の使用計画と63,787円の差がでたのは、主に、国際旅費にかかわる残差が理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に繰り越された63,787円については、デスクパソコンの購入の一部に充てる。本年度は当該研究の最終年度にあたるので、神戸大学で開催されるISOMS国際学会、ハバナで開催されるWorld Conference on P&OMで研究成果を発表する。また、米国で開催されるSCTLRのワークショップに参加する予定にしており、国際学会参加費とその旅費で、821,700円になる予定である。国内研究調査旅費が88,200円、パソコン購入費用が200,000円、印刷費30,000円、その他消耗品費23,887円を出費する計画である。
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Research Products
(9 results)