2014 Fiscal Year Research-status Report
国際開発型ビジネススキームモデルとしてのBoPビジネスの調査・実証研究
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25380466
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
高岡 伸行 和歌山大学, 経済学部, 教授 (90304922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水村 典弘 埼玉大学, 経済学部, 准教授 (50375581)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | BoPビジネス / CSV / CSR / 社会的責任ビジネス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究統括者は,研究課題に関する理論的動向の整理,分析を行い,主要アプローチに位置づけられるCSV(creating shared value)の論理をCSRアプローチの系譜と位置づけ,その特徴や問題点を整理し,研究論文,学会報告を行うための準備を行った。 また研究分担者は,研究課題に関する日本企業の事例分析のためのヒアリング,現地調査を行い,統括者とは反対にCSVアプローチの利点と日本企業における実施状況をまとめ,それらの研究論文,学会報告を行う準備を行った。 統括者は,BOPビジネスに対するCSRアプローチとCSVアプローチのそれぞれの特徴,関連性に関する概念的整理を行った。CSRアプローチに関しては,ISO26000の社会的責任経営の制度の中で規定されたCSR観の検討をベースに,CSVアプローチに関しては,Porter and Kramerの提唱したCSV論,およびStrategic Founding Groupの事例集などの分析から行った。 分担者はCSVアプローチのBOPビジネスをベトナムで実践する日本企業の活動を調査し,現地の担当者にヒアリング調査を行っている。 これらの研究実績に関する成果として,論文および学会報告の実績は26年度中にはないが,26年度中に投稿,報告申請しており,学会報告については統括者,分担者とも27年6月に日本経営倫理学会の全国大会にて,それぞれ別々に報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進行状況がやや遅れている一番の要因は,研究統括者が学科長および就職支援委員会委員長を併任し,学内行政に時間を割かれたことによる。 ただし,研究成果をまとめ,発表するための成果物を作成するまとまった時間を得られなかっただけで,論文作成および研究成果報告のエントリーやそのための資料分析は行っており,27年度にまとめて発表する予定である。 研究成果の刊行等には至っていないが,統括者・分担者とも,主要アプローチとなるCSV概念の検討,事例の調査を,計画当初にくらべ少数になっているが,済ませており,27年度に進行状況の遅れを回復するための作業は行っており,問題ないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度に研究成果論文,発表報告は行っていないが,統括者は2編の論文を,分担者は1編の成果論文を投稿しており,かつ両名とも学会報告の全国大会報告にエントリーし,報告が承認されている。26年度に刊行された成果はないが,研究成果発信の段取りは行っており,その機会を得ている。発表報告は6月末に行うので,当該学会報告での得るコメントや関連研究者との質疑を下に,報告内容をブラッシュアップし,論文として27年度内に刊行するようにする。 また研究統括者は,研究課題に関する中小企業による取り組みの実現可能性の検討を新たに加える。BOP地域に直接進出し,現地での事業を通じて国連ミレニアム開発目標や持続可能な発展目標に直接コミットするだけではなく,それぞれの母国における日常的な事業運営のあり方を通じてそれらの目標に貢献する方法の検討を趣旨とする。ごく少数の企業による社会的責任ビジネスもさることながら,事業体それぞれは小規模とはいえ,より多くの企業による,日常的取り組み余地を高めた方が,国際開発目標に対する実質的効果が大きいと判断したためである。そのためにISO26000のCSRアプローチによる中小企業のBOPビジネスの余地を調査する。これらは学会報告後の27年度の後半に,論文作成と並行して行う予定である。主に日本の中小企業のCSRアプローチのBOPビジネスの実現可能性に焦点を当てるが,日本の中小企業のBOPビジネス・ポテンシャルの特徴を浮き彫りにするため,海外の中小企業,とりわけBOPビジネスに後発的な先進国である豪州の中小企業のCSRやBOPビジネスとの対比を通じて行うこととする。
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Causes of Carryover |
海外現地調査を行う予定であったが,学内用務のため,まとまった調査日程を確保できなかったために予定していた費用を持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国連ミレニアム開発目標,ポスト開発目標としての持続可能な発展目標への中小企業におけるCSRアプローチの可能性を検討するために,日本の中小企業とBOPビジネス後発の先進国の中小企業のBOPビジネスを比較検討するための海外調査に使用する計画である。
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