2014 Fiscal Year Research-status Report
循環型サプライチェーンにおける情報共有とリードタイムの影響
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25380475
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
細田 高道 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (50570123)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 循環型サプライチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は数理モデルの完成を目標として取り組んだ。カーディフ大学(英国)ディズニー教授、フローニンヘン大学(オランダ)ガールマン教授、そしてコーネル大学(米国)ガヴィアネニ教授の協力を得た。 実績として十分な成果を上げることができた。基本的なモデルはほぼ完成したと言ってもよいであろう。需要と回収のモデルにおいては、相関を考慮できるものとし、また再処理と製造のリードタイムもモデルに組み込んでいる。また再処理については確率的な歩留りを設定可能とした。さらに製造業者と再処理業者間の情報共有も考慮できるものとした。我々が知る限り、これらすべてを考慮した数理モデルはまだ発表されていない。 数理モデルから得られる有益な知見をまとめ、2015年3月に開催されたIEOM学会にて成果を発表した。 モデルから見出された有意義な知見の代表例として、リード・タイム・パラドックスというものがある。これは1999年に別の研究者グループにより報告されていたものであるが、我々の研究により、全く異なる状況においても同様なリード・タイム・パラドックスが生じることが判明した。リード・タイム・パラドックスとは、再処理のリード・タイムは長い方が循環型サプライチェーンにおいてはパフォーマンスが良くなる、というものである。一般に、パフォーマンスを上げる為にはリード・タイムは短い方がよいとされているので、パラドックスと呼べれている。我々の調査によると、このリード・タイム・パラドックスはまだあまり知らていない。 2015年度は最終年度となるが、現時点での成果を学術誌への投稿をすることが重要と考えている。また、完成した基本モデルをより発展させる余地もあると思われるので、この点についても注力していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、リードタイム、相関、歩留り等のすべての要素を含めた数理モデルの基本モデルを構築することができた。まだ基本モデルではあるが、上記要素をすべて含めたモデルはまだ発表されておらず、学術的貢献は高いと考えられる。2年でここまで進捗したことは当初の計画通りである。また、モデルを分析することにより、様々な有益な知見を得ることができており、この内容もあわせて国際学会にて成果を発表ずみである。 よって、当初予定していたモデル開発の完了と研究成果のまとめ、さらに外部への発表もすることができており、本研究はおおむね順調に進展していると考えることが妥当であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
3年計画の2年が終了した。ここまで順調にきているので、当初の計画に従って進めていく。研究協力者としてこれまで通りカーディフ大学(英国)ディズニー教授、フローニンヘン大学(オランダ)ガールマン教授、そしてコーネル大学(米国)ガヴィアネニ教授の協力を得る。本年度は英国にて研究打ち合わせと、最低1回の学会発表を予定している。またこれまでの研究内容をまとめ、学術誌への投稿をする予定としている。また本年度は完成した基本モデルをさらに拡張することを考えている。特に需要と回収のモデルについては、学会で指摘があったのであるが、相関の考え方にまだ改善の余地があることが判明している。その点を改善した上で、さらに研究を進めていきたい。また、当初の予定にあるように、実証研究に向けて協力していただける企業を募集する予定である。
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