2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380476
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
中野 勉 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (10411795)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ネットワーク分析 / イノベーション / 多様性 / creative friction / オーディオ産業 / 制度 / creative industry / 現象学 |
Research Abstract |
本研究は『多様性とイノベーション』(デヴィッド・スターク、2011)に関連して、ソーシャル・ネットワークの視点から、理論及び実証研究を行うものである。異なる文化を持つ「組織的なネットワーク」の間の衝突がイノベーションを生み出すと主張する組織の「不協和 (dissonance) 」の理論 (Stark 2009) を基礎とする。実証において、現象学からの「社会的に構成される現実」の概念を応用し、文化が制度化され、産業が変化して行くダイナミズムを、認知論、制度論、ネットワークとイノベーションとの関連から検証する。 4つの産業についての研究実績は以下の通りである。(1)オーディオ産業の文化とネットワークについては、国内の量販店やプロショップ、中古小売店などを回り、展示会やコンベンションにも参加し、日本や海外メーカーのインタビューを行ってきた。そして、2014年のフランス出張の際には、パリでフランスの研究者との意見交換(Antoine Hennion, Emmanuel Lazega) を行い、ショップのインタビューを行った。また、ネットワーク分析を行い、その結果は2013年3月に単著論文として日本語で出版された。加えて、2013年6月のSASEの年次大会(ミラノ)で学会発表を行い、1月にはリヨン第三大学で発表を行った。(2)産業集積における中小企業の文化とネットワークについては、東京都大田区の企業間関係分析に関し、2013年には「大田工業フェア」を訪問し、インタビューから論文の構想をまとめている最中である。(3)フライ・フィッシングについては、文献整理に加え、フィールド、プロショップなどを訪れた。(4)総合商社のネットワーク分析では、問屋から卸、小売への流れなどについて、いくつかののデータベースを使いデータ調査を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、異なる文化を持つ「組織的なネットワーク」の間の衝突がイノベーションを生み出すと主張する組織の「不協和 (dissonance) 」の理論 (Stark 2009) を基礎とする『多様性とイノベーション』(スターク、2011)に関連して、ソーシャル・ネットワークの視点から理論及び実証研究を行う。ネットワーク分析、現象学、組織認知、制度論などを多角的に応用し、ネットワーク構造と文化の意味を問いながら、実証において、現象学からの「社会的に構成される現実」の概念を応用し、文化が制度化され、産業が変化して行くダイナミズムを、認知論、制度論、ネットワークとイノベーションとの関連から検証する。 4つの産業の研究の現状は以下の通りである。(1)オーディオ産業の文化とネットワークについては、情報量は多いが、データの構築と分析に時間が掛かっている。その結果は2013年3月に単著論文として出版され、一部学会発表を行い、順調に推移しているが、より時系列的な計量分析を行うべく努力を続けている。(2)産業集積における中小企業の文化とネットワークについては、2013年には定性インタビューでフォローアップしており、構想もまとまりつつあるが、論文を書き上げるく時間を作ることに苦労している。(3)フライ・フィッシングについては、フィールド、プロショップなどを訪れたが、まだ論文として発表するには至っていない。(4)総合商社のヴァリュー・チェーンのネットワーク分析を試みているが、データがまとまりきっていない。 総合的な達成度として、ネットワークとイノベーションについて、その多様性と「創造的な摩擦」の意味の理論と実証から検証は極めて順調に推移しているが、データの収集、整理、分析に多くの時間を割いており、今後は執筆により多くの時間を使うべきと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ネットワークとイノベーションについて、その多様性と「創造的な摩擦」の意味の理論と実証からの検証はおおむね順調に推移しているが、データの収集、整理、分析に多くの時間を割いており、今後は分析を進めながら、公表・発表に向け、執筆により多くの時間を使いたいと考えている。研究との関連で、2014年4月には組織学会の定例会で「ソーシャル・ネットワークと組織・戦略のダイナミクス」という単独講演を行い、これらの成果の一部を報告した。そして、2014年7月にはニューヨークのコロンビア大学より David Stark教授を日本に招き、司会者及びモデレーターとして、教授の講演会を行う予定である。その際、David Stark 教授と「ヘテラルキー」の概念とイノベーションのネットワーク・メカニズムについて議論を深める作業を予定している。また、7月にはオランダ・ロッテルダムでのEGOSの年次大会、8月にはアメリカ・フィラデルフィアでのAcademy of Managementの年次大会での学会発表を予定している。更に、2015年1月にはリヨン第3大学の研究会での発表も予定している。そして、これらの成果を反映させながら、本年度中に、単著としてネットワークとイノベーション、戦略に関する叢書の出版を考えている。 現状特に大きな変更や課題はないが、当該プロジェクト以外にも本務校での職責や学会関係の仕事もあり、他の業務とのバランスに配慮しながら、本リサーチを遂行して行くことを心がけたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究が本格化する中で、フランスでの研究発表に関し、リヨン大学に旅費と宿泊費を負担していただいたこと及びデータべースの購入に際しての交渉による値引きなどで、約15万円の残額が生じたが、今後リサーチと成果の公表に向け進める中で、海外でのリサーチや学会発表など次年度における出張費やPCの購入などに備えるため、出来るだけ多くの金額を繰り越すこととした。 今後リサーチと成果の公表に向け進める中で、海外でのリサーチや学会発表などにおける出張費やPCの購入などに使用する予定である。
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Research Products
(6 results)