2015 Fiscal Year Annual Research Report
わが国におけるエンゲージメント付ESG投資に関する研究
Project/Area Number |
25380482
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
三和 裕美子 明治大学, 商学部, 教授 (10287881)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 機関投資家 / エンゲージメント / コーポレート・ガバナンス・コード / スチュワードシップ・コード / ESG |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、わが国証券投資において効果的なエンゲージメント付きESG投資を考慮した投資)の在り方を具体化することであった。エンゲージメントとは出資者が投資先企業のESG事項について意見を述べる、意見交換をするなどの手法を通して投資先企業と関わり長期的投資リターンの拡大を追求する手法である。欧米に比べてわが国においては、ESG投資、エンゲージメント付ESG投資についての認知度は低い。本年度においては、文献研究やヒアリング調査などを通して得られた研究成果をまとめ、機関投資家のエンゲージメント付ESG手法の有効性や意義について検証を行った。 2014年にスチュワードシップ・コード、2015年にコーポレート・ガバナンス・コードが導入されたこともあり、機関投資家の意識、企業の意識に関して調査が多く出揃い、筆者はそれらを通して現状を知ることができた。そのため、当初予定していたアンケート調査を中止し、入手できる調査と昨年度のヒアリング調査をもとに研究を進め、論文執筆、研究報告を行った。 本研究は2013年から開始されたのであるが、2014年に日本版スチュワードシップ・コードが期せずして導入され、そこにおいて機関投資家の「エンゲージメント」が俄に注目を集めるようになった。本研究はその先見性において高い評価を受けた。しかしながら、日本版スチュワードシップの導入は、いわゆる「アベノミクス」における成長戦略の一環として位置づけられ、そこにおける議論は、本研究が目的とした環境や社会問題についての機関投資家のエンゲージメントとはかなり隔たりがあることが判明した。今後の環境・社会・ガバナンスそれぞれの有効なエンゲージメントを探る必要があるということが今後の課題である。
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Research Products
(5 results)