2015 Fiscal Year Research-status Report
企業外部・内部の環境変化がコーポレート・ファイナンスに及ぼす実証分析
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25380490
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
三谷 英貴 立命館大学, 経営学部, 准教授 (80584052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
播磨谷 浩三 立命館大学, 経営学部, 教授 (90347732)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多角化戦略 / 選択と集中 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は今まで取り組んでいた2本の論文を完成させることができた.本研究は交付申請時に記載した「研究の目的」にもあるように,外部環境の変化が,企業の資金調達行動に及ぼす影響を国際的な規模で明らかにすることを目的としている. 執筆を終えた二本のうちの一本は,上記の内容にもとづき,OECD加盟23か国の上場企業5,378社を対象とした実証分析である.一般的に,企業は複数の製品を同時に生産するという「多角化戦略」と,それらの製品群の中から特定の製品を選び,それに資源を集中させる「選択と集中」という矛盾するような戦略を同時に行っている.本研究では,企業がそれら矛盾する戦略を同時に行う過程で,戦略の複合効果が企業の資金調達行動に及ぼす影響を明らかにするものである.得られた分析結果は,先行研究からは得られなかったものであり,企業が財務政策を考えるうえで新しい知見をもたらす内容であるといえる. もう一つの論文は,わが国企業を対象としたもので,製品・サービス市場における企業どうしの競争状態が,流動性(現預金)の保有行動に及ぼす影響を実証分析したものである.企業の流動性に関する保有行動については,先行研究は複数存在している.しかしながら,それらの研究では,企業を取り巻く外部環境の変化を考慮に入れてはいない.本研究では,先行研究におけるこの点を考慮したうえで,製品・サービス市場での競争環境の変化に焦点を当て,それらの変化によって流動性に対する保有性向がどのように変化するのかということを明らかにしている.得られた分析結果は,企業の流動性に対する保有行動を明らかにするうえで,製品・サービス市場における競争環境の変化の視点を考慮する必要性を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況が「やや遅れている」最大の理由としては,研究課題に関する先行研究がほとんどなく,仮説の構築に予定していた以上の時間がかかってしまったというものである. しかしながら,仮説の構築ができてからは順調に進み,今期末までに遅れていた分を取り戻すべく二本の論文を完成させることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,完成した二本の論文を学会や研究会等で報告していくとともに,そこで得られたコメントをもとに加筆修正を施し,少しでも早く海外の学術誌への投稿を計画している.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,当初予定していたより研究課題の遂行が遅れてしまったというものである.そのため,論文の執筆が遅れてしまい,当初予定していた学会報告や英文校正などへの支出を行うことができなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
以上の理由により,今次,研究期間の延長を申請し認められることになった.研究は全体として遅れ気味であったものの,今年度末までに二本の論文を書き上げることができ,次年度は,それらの英文校正に資金を使用することになる.また,学会や研究会などでの報告にかかる旅費や,海外の学術誌に投稿する投稿費用にも支出する計画である.また,今後の研究を見込んで,データベースの更新にも支出を計画している.
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