2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380497
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
董 彦文 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (90292458)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セル生産 / 人的要因 / 実験研究 / 数値解析 |
Research Abstract |
セル生産の生産性に影響を与える人的要因として,①作業者の個人適性,②熟練・学習効果,③教育方法・作業指示形式の3つの項目を取り上げ,セル生産の効率を測定できる実験実施案および人的特性を調べるためのアンケート調査用紙を設計した.これらの設計案に従って,実験室でセル生産実験を実施し,設定された作業条件のもとで,作業者に依頼し作業時間を測定し,アンケートを答えてもらった.これにより必要な実験データを収集できた.実際の生産現場に近いデータを収集するために,一般の社会人を募集し被験者とした. 収集した実験データに対して,まず分散分析の手法を適用し,作業効率に対する各要因の影響を定量に解析し,得られた結果はH25年12月に開かれる国際学会ACMSA2013(The 2013 Asian Conference of Management Science and Applications )と11月に開催された日本経営工学会秋季研究大会にて発表した. セル生産実験で得られた作業時間とアンケート調査結果との関連性に着目し,因子分析手法を用いて,潜在的要因を明確にしたうえ,これらの要因と作業効率間の関連について回帰分析を行った.これらの解析を通じて次のことがわかった:①作業時間は作業者の「苦手さ」と正の相関,作業者の「興味」,「学習・熟練効果」と負の相関にある.作業効率に対する作業者の「興味」は「学習・熟練効果」より2.4倍ほどその影響が強い.②「単調・退屈な作業」をする際,熟練効果は出やすい.これに対して,「きめ細かい作業」を繰り返しても学習・熟練効果は簡単に見られない.作業者が「やりがい」を感じるかは学習・熟練効果に正の影響を与える.これらの成果はH26年5月開催される国際学会CMS2014(11th International Conference on Computational Management Science)と日本経営工学会春季大会にて発表する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験設計とデータ解析は研究計画のとおり順調に進んでいるが,被験者を募集する際,予想外の問題があった.福島市内では原発事故による放射能汚染の除去には多大な予算と人力を投入しており,一般作業者はほとんど除染関係の仕事に従事しているため,福島市内で必要な人数の一般社会人を集めることはできなかった.一般社会人を確保するために,被験者の募集を外部業者に依頼のうえ,実験場所をいわき市内の公民館に変更した.この原因で実験の実施は予定より遅れた. これに伴い,作業者の募集と関連人件費の支出業務をまとめて外部業者に依頼したため,「諸謝金」の支出は実験実施業務委託費用として「その他」の支出に含まれ,帳簿上0円となった.
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Strategy for Future Research Activity |
いままで福島大学の学生を被験者として実験を順調に行ってきたが,今回一般社会人を被験者として実験を行った際,新しい問題が発生した.一つは被験者間の作業適性・能力の差が大きすぎて,適性があまり低い被験者の測定データはほとんど使えるものにならない.このため,有効なサンプル数の確保に注意しながらこれからの実験設計と実施を行う必要がある.もう一つは実験の実施に際していかに被験者を指導するかが大きな課題となっている.大学生の場合ストップウォッチを使って時間を測定しながら作業をするのが非常に簡単にできていた.しかし一般社会人の場合,時間測定を忘れたり,時間の記録と作業を間違ったりして,基本的な手順さえ守れない被験者がいた.もっと詳しい実験マニュアルを作成のうえ,実験時の指導を強化する必要がある. 今後はこの2つの問題点を十分に留意し研究を進めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品発注の際,メーカの値引きにより2万円弱の残額が出た. 物品費として利用する
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