2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25380502
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平田 透 金沢大学, 人間社会環境研究科, 教授 (10249138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 武稔 北陸先端科学技術大学院大学, その他の研究科, 教授 (80293398)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経験知 / 災害体験 / 組織的継承 / 意味性 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災に関する新聞雑誌記事・書籍等に掲載された内容や新聞記事内容および掲載頻度に関して調査を行い、組織の対応事例をまとめるとともに、災害発生時とその後の組織対応、特に災害経験の継承に関してインタビュー調査を実施した。 報道に関しては、大災害の発生直後からしばらくの間は継続的な報道がなされるが、時間経過とともに頻度は指数関数的に低下していく。災害が発生した3月になると、さまざまな追悼行事等が行われるため、多少の頻度は上がるものの、一時的なものであり低下傾向は変わらない。東日本大震災発生から5年経過した時点では、関連記事は著しく減少している。また、関係者からの聞き取りでは写真展示やフォーラムなどのイベントについても参加者は減少しているとのことであり、情報量の低下とともに関心が薄れていっている状況が明らかになった。 また、企業組織の中において被災経験や記録された情報がどのように活用されているかについて、流通企業を中心に追加インタビューを行った結果では、組織内には災害発生時の対応経過に関する各種の記録が残されているものの、同じ状況が発生することは少なく、応用できる範囲は限られている。重要なのは、記録そのものではなく記録と経験を結びつけた組織的な学習による災害対応能力向上、災害時の適切な意思決定の仕組みに結び付けることである。組織内における人の意識や経験は、時間経過にともなう人の異動や退職により希薄化していくことから、人的には日常的な訓練の反復や研修への組み込み、組織構造としてはリスク分散の機能の内在により、記録の意味性を組織成員に浸透させるとともに被害が発生した場合の組織的回復力を維持強化していくことが重要な課題であることが確認された。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] 異質な知の重要性2015
Author(s)
平田 透
Organizer
異文化経営学会 北陸部会設立総会
Place of Presentation
ホテルグランテラス富山(富山県富山市)
Year and Date
2015-08-29 – 2015-08-29
Invited
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