2014 Fiscal Year Research-status Report

繊維産業における国際的企業間分業及び生産技術の蓄積・発展に関する研究

Research Project

Project/Area Number	25380513
Research Institution	Fukui Prefectural University
Principal Investigator	木野龍太郎福井県立大学, 経済学部, 准教授 (40405072)
Project Period (FY)	2013-04-01 – 2017-03-31
Keywords	企業間分業 / 技術蓄積・発展
Outline of Annual Research Achievements	2014年度は、過去の調査事例を基に企業間分業を通じた生産技術（製品技術・製造技術）の蓄積・発展やイノベーションの発生に関して考察した。すなわち、従来型の特定地域における産地内完結型企業間分業から、産地を越えた企業間分業への展開は、以下のような示唆を含むものであると考える。工業化の流れのなかで、新しい素材や製法が繊維産地に取り込まれるとともに、先述した日本製の製品に対する大きな需要に対応するために、また、大手企業の傘下における「賃織り」体制となり、「手張り」といわれる自社で在庫を持つ生産・販売体制と比較して生産単位あたりの利益率が低下するなかで、それをカバーするために、大量生産に適した設備を導入し稼働率を上げることで利益を生み出す体制を整えてきた。しかし、そうした役割が海外の企業に移っていく状況においては、国内産地はテキスタイル製品の開発を担う役割が求められ、様々なタイプの製品に対応した生産体制が必要となってきた。しかし、産地全体が特定製品の大量生産に適した体制に固定化し、新しい体制に対応する柔軟性を欠く状況にあったことから、国内産地に求められる役割に対応すべく、産地間連携を通じた新しい企業間分業構造を構築することが必要であり、そのことによってこれまでに無いタイプの製品を開発・生産するにつながったことが明らかとなった。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 4: Progress in research has been delayed. Reason 今年度は国内繊維産業における技術形成の状況を検証するとともに、海外の企業調査を行う予定であったが、これまでの調査内容の整理と、海外の企業調査に向けての準備として、先行研究のサーベイを中心に研究を進めてきたことから、当初の予定より遅れている状況にある。
Strategy for Future Research Activity	今年度は、展示会や講演などに足を運び、関連する企業や団体とのさらなるネットワーク構築を図り、国内における技術形成の状況についてさらに検証を進めるとともに、海外事業所調査のアクセスをやりやすくしていく予定である。そのなかで国内外の関連企業への積極的な実態調査を行い、それぞれの役割を比較検討するなかで、グローバルな規模での企業間分業構造を明らかにしていくこととする。
Causes of Carryover	当該年度に行う予定の海外企業におけるヒアリング調査が次年度になったことで、旅費や音声起稿の使用額に差額が生じた。一方で、文献調査のための書籍を予定より多く購入している。
Expenditure Plan for Carryover Budget	次年度では、海外企業へのヒアリングのための旅費や音声起稿、移動先や学会などの研究報告で利用するノートPC、一般の方に向けて発行する予定の報告書などに、この差額を利用する予定である。