2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380514
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
高 瑞紅 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (30420459)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グローバル調達 / 多国籍企業 / 集中購買 / 分散購買 / 国際分業 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画通り,2年間にわたって多国籍企業の本社及びその中国IPOでインタビュー調査を行った。それまでの調査内容に基づき,学会・研究会で報告を行い,論文を作成した。その中から2本紹介する。 『アジア経営研究』に公刊予定の論文では,中国での事業展開とグローバル調達に与える影響などを分析する中で,海外駐在員と帰任者が重要な役割を果たしていることを明らかにした。取引先の海外進出や国内市場の縮小に対応するため海外進出をしているA社は,海外事業の拡大に伴い駐在員人材の不足に頭を悩ませている。同社は,1年短期滞在の若手技術者を派遣することで,問題を緩和しながら派遣コストを抑えることにした。技術指導など多様な役割をこなしていく中,若手技術者の成長を促すことも可能にした。こうした駐在員経験者が多数日本拠点に戻ったため,現地事情と問題点を踏まえて適切な対応と支援を可能にし,迅速に問題解決できた。そういう意味で,駐在員の役割は赴任中に限られず,帰任後にも海外拠点へのサポートや拠点間の連携を促進することが期待できると考えられる。 『経済理論』に公刊予定の論文では,先行研究のレビューを行い,グローバル調達がさらに重要性を増す中,駐在員が担う役割は益々重要となってくるにもかかわらず,調達における駐在員の役割をとりあげた研究は皆無であり,重要な課題として残されていることを指摘している。駐在員を中心としたIPOスタッフが本社や世界各地の生産拠点など様々な部門と調整するため,長期にわたり一貫して諸国に分散している各量産拠点に情報提供を行い,自社とサプライヤーとの間のコミュニケーションをサポートすることによって企業間取引関係を管理する。このことから,海外駐在員が拡大する企業内貿易やグローバル調達の担い手として重要な役割を果たすと示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,先行研究の検討やインタビュー調査を行った結果を学会や研究会で報告し,原稿の作成を進めた。よって,「おおむね順調に進展」と判断することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,学会や研究会でいただいたコメントを参考し,論文の完成度を高める。同時に,グローバル調達と中国IPO設置に関する国際比較を行い,そこでの課題について検討する予定である。そのため,日本や中国でのインタビュー調査を行うとともに,海外の研究者との連携を強化し,欧米企業の本社について調査を進めることを予定している。現行通り,インタビュー調査と学会での研究報告を行い,成果を継続して出せるようにする。
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Research Products
(7 results)