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2015 Fiscal Year Research-status Report

非正規従業員における勤続意思と雇用選択の検討

Research Project

Project/Area Number 25380518
Research InstitutionOsaka Prefecture University

Principal Investigator

井手 亘  大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (20167258)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywords非正規従業員
Outline of Annual Research Achievements

組織における非正規従業員の雇用形態の選択と勤続意志などの実態とそれを説明するモデルについて検討するため、インターネットを通じた苦情相談の内容の分析をもとに、職場における組織レベル、個人レベルの要因について検討を行った。特に、仕事上でのトラブルや人間関係の問題、会社との間での賃金や雇用にかかわる問題への対処は従業員の勤務継続に直結するので、これらのトラブルへの対処の観点から検討を行った。対処行動は、Rusbult, Zembrodt, and Gunn(1982)の分類である、対話、待機、無視、退去の4つに加え、対決、という解決を目指す行動ではあるが結果として関係を悪化させることが互いに自明である行動、さらに、自己責任、というトラブルの原因が当事者本人の側にあることで生じる行動の2つを追加した。相談内容の問題別に相談へのアドバイスを分類した結果、対処行動を示唆する回答が50%を超えている相談内容の中で、人間関係の問題の相談では対話が半数を占めるものの待機もかなりの割合を占めており、人間関係のトラブルでは消極的な対応が勧められることが示された。労働時間の問題でも待機が相対的に多くみられ、勤続への影響は限定的であった。解雇・退職の問題では対決が待機を上回っており、辞職を前提に対応を取るべきという強い意見が多かった。同様の傾向はいじめ・嫌がらせの問題でもみられ、関係の悪化を覚悟の上で対応する対決が支持されており、同時に退去の割合も多かった。これらの結果は、トラブルの種類によって回答の示唆する対処行動にかなりの違いがあること、場合によっては「退去」というコストのかかる選択肢が積極的に支持されることがあることを示している。これらの知見をもとに、調査のモデルでは積極的な勤続の停止、退去を考慮したモデルの作成を行っている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初計画では想定していなかった労働者派遣改正法が平成27年9月30日に施行された。この改正は非正規従業員の仕事と雇用についての意識に大きな影響を与えるものであり、研究の趣旨からはこの改正による環境変化の後に調査を行うことが必須であった。実際にこの改正の影響を受ける雇用の契約更新のかなりの部分は平成28年4月に行われると考えられたため、急遽、平成27年度の調査実施を延期し、同時に補助事業期間の延長を申請して調査のための資金を平成28年度に繰り越し、平成28年度に調査を実施することとした。

Strategy for Future Research Activity

期間延長後の最終年度である平成28年度は、昨年度、実施を延期した調査とその分析を行う。調査項目については労働者派遣改正法の内容を反映させて組織レベルの変数、個人レベルの変数の質問を修正したうえで調査を実施する。調査の結果の分析では有効なデータ数が多く確保できれば組織レベル、個人レベルの変数の関係について階層線形モデルを中心とした分析手法を適用して、最適なモデルの検討を行う。データにより実証されたモデルについては過去の研究によって明らかにされてきた理論との比較を行い、非正規従業員の勤続意志や雇用形態の選択についての理論的検証を行う。この研究のインプリケーションとして、組織にとって非正規従業員に対する処遇と雇用においてはどのような制度やその運用方法が適切であるのか、非正規従業員はどのような雇用形態を望むのか、正規社員との処遇格差は受容可能であるのか、といった非正規従業員の雇用に関する全体的な示唆が得られることが期待される。なお、研究の成果は関連学会で発表するとともに、企業や労働組合に対する提言の中でこれを生かしていく予定である。

Causes of Carryover

非正規従業員の雇用に関する労働者派遣法の改正・実施による環境変化に対応した調査を行うため、平成27年度に実施予定であった調査を平成28年度に実施することになり、調査準備、調査実施、分析の費用を28年度に繰り越すこととなった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成28年度に調査と分析を行うことにより、関連の費用をすべて支出する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2015

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 仕事の問題解決でのネットワーク利用と解決方略2015

    • Author(s)
      井手亘
    • Organizer
      経営行動科学学会第18回年次大会
    • Place of Presentation
      愛知大学名古屋キャンパス
    • Year and Date
      2015-11-14 – 2015-11-14

URL: 

Published: 2017-01-06  

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