2013 Fiscal Year Research-status Report
経済性と社会性の同時実現を図るBOPビジネスの理論的・実証的研究
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25380520
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
菅原 秀幸 北海学園大学, 経営学部, 教授 (30255418)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | BOPビジネス / 成功モデル / 失敗モデル |
Research Abstract |
当初の研究計画のフェーズ1では、JICAの「協力準備調査(BOPビジネス連携促進)」の第一回に採択された20案件について、その進捗状況をすべて精査する予定であった。そのため、まずJICA民間連携事業部連携推進課においてヒアリングを行い、全体像の把握を行った。その中で、事業化の進捗状況がそれほどはかばかしくないことが判明した。 そのため分析対象を、これまでJICAによって採択され、支援を受けている73のすべての事業に広げた。その結果、「事業化または事業化見込み」に達した案件は7件に留まっており、分析対象としては少なすぎることが分かった。 そこで、日本の事例に限ることなく世界のBOPビジネス成功事例に対象を広げることにした。アジアでBOPビジネス研究の拠点の一つである Singapore University of Technology and Designを訪問しヒアリングをおこない、成功事例についての情報・知見を得た。さらに現地に駐在しているコンサルタントやビジネスパーソンらへのインタビューを通して、現場発の知見を得た。この結果、JICAの事例にのみ限定する必要のないことが明らかになり、よし研究対象を広げることで、すぐれた成果を得られると確信するにいたった。JICAの採択案件の現場を訪問し調査することの有効性の低さが判明したために、当初の予定を修正してフィールド調査をとりやめた。 分析対象を世界中の企業に広げるにあたって、すでに調査を行っていたコンサルタントとの共同研究に着手した。IFC、Hystra、サンタクララ大学が、それぞれ成功事例の分析を行なっているので、それらの成果をもとに、240事例の成功事例が抽出された。これらの分析から、15の成功パターンが明らかにされているので、それらの精緻な分析を行なった。 ここまでの成果の一端を「世界経済評論」に投稿し掲載された。ウェブサイトも作成し、成果を広く発信していくためのベースとなる基盤を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、分析対象を日本企業に限っていたが、それを世界全体に広げることで、研究計画段階における着想以上の成果が期待できるようになった。 この過程において、現場により密着しているコンサルタントの方々との協力を通して新たな情報・知見を得ることが出来た。ここまでで、ビジネス理論に重点をおいた研究が進められてきたので、今後の方向性として、開発理論にも視野を広げた研究の方向性が明確となった。 次の段階として、ビジネス理論、開発理論の双方を視野に入れたBOPビジネス論の構築に向けて、新しいフレームワークの構築に取り掛かる。
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Strategy for Future Research Activity |
世界の成功事例240の分析をもとに、実践的議論での進展はみられたものの、理論的議論の深化では、大いに研究の余地が残されている。開発理論とビジネス理論を融合させる目的で、理論面に重点をおいた研究を進めていく。 これには多くの外部からの知見が必要で、これまでのネットワークに加えて、さらに新たなネットワークの構築を図っていく。 11月に開催予定の国際ビジネス研究学会全国大会(大会委員長:菅原秀幸)では、BOPビジネスを討議するセッションを設け、そこで集中的な議論を図る。その成果を、今年度にまとめて日本語と英語の論文で公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定した現地フィールド調査に、それほどの価値がないことが判明したために、実施を縮小した。それにかえて、成果を公表し、外部との情報・知見のインタラクティブ性を高めるための基盤整備を行った。 当初は日本企業に限定していたが、その範囲を外国の企業にも広げて、フィールド調査を行う。
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Research Products
(1 results)