2013 Fiscal Year Research-status Report
日本企業の新興国における子会社進化と企業内ネットワークに関する研究
Project/Area Number |
25380522
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
齋藤 泰浩 東京国際大学, 商学部, 准教授 (50296224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 意智郎 実践女子大学, 人間社会学部, 准教授 (80407220)
竹之内 秀行 上智大学, 経済学部, 教授 (90297177)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多国籍企業 / 新興国 |
Research Abstract |
本研究の目的は、子会社進化に関する議論を、単一の焦点子会社から同一国内の他の子会社との関係、さらには他国の子会社との関係に焦点を当てながら再構築することにある。この目的を達成すべく、本年度は先行研究のレビュー、1次データおよび2次データの探索的な分析、分析枠組みの構築という3つに取り組む計画であった。 まず先行研究のレビューについては、本研究が焦点を当てる上述した「関係」とは、従来多国籍企業内のユニット間関係で焦点が当てられてきた協調的関係ではなく競争的関係を意味しているが、内部競争研究のみならず、他の子会社との関係を考慮した研究やネットワーク的な視点からアプローチしている研究にも対象を広げ、レビューに取り組んだ。とりわけ、Belderbos&Zou(2006)の再配置マトリックスは本研究プロジェクトとしても作成に挑戦したい。 次に探索的な分析については、本年度はしばしば悩まされてきたゼロ強調負値二項モデル(ZINB)をStataで処理できるようになることを目指した。また、子会社退化(役割喪失)の1つの形態が撤退であることから、市販のデータベースを用いて撤退の現状を数量的に把握することを試みた。Belderbos&Zou(2006)の再配置マトリックスを作成するにも撤退の現状を明らかにする必要があったからである。その成果の1つは竹之内・齋藤(2014)として発表を行った。 最後に分析枠組みについては現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「やや遅れている」最大の理由としては、データベースの構築の遅れが挙げられる。 これまで構築してきたデータベース(研究代表者:竹之内秀行、課題番号:22530424)は(中国)進出に焦点を当てたものだが、本研究で構築するデータベースは進出後の事業展開を対象としている。具体的には、進出後の多角化(Delios, Xu & Beamish,2008)や現地本社の設立(Ma & Delios,2010))に加え、撤退が含まれる。さらには、海外子会社の役割変化を現地市場の戦略的重要性および在日子会社の経営資源レベル(たとえばBartlett&Ghoshal,1989)のみならず、他の海外子会社との関係、とりわけ競争的関係という文脈の中で捉えようとしている。ある海外子会社の役割獲得(あるいは役割喪失)は他の海外子会社の役割喪失(あるいは役割獲得)が起きている可能性があることを意味するのである(Birkinshaw,1996)。役割喪失の1つの形態が撤退に他ならない。実証研究を行う上で重要性を再認識した撤退の現状把握が予想以上に難航したため(竹之内・齋藤,2014)、データベース構築作業に遅れが出てしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度の遅れを挽回しながら、当初の研究計画に掲げていたようにデータベースの構築と実証研究を行う。上述したように、二次データがあっても撤退の現状把握が困難であることは分かっているので、効率よく作業を進めながら、他国への進出とセットでデータベースの構築を急ぐ。そのためにも、分析枠組みの検討を進める必要がある。この点については、研究分担者として参加している研究プロジェクト(研究代表者:長谷川信次、課題番号:23330134)で行ったアンケート結果なども活用していく。製品・サービス、市場、機能において他国の子会社と代替関係にあるのか補完関係にあるのかは本研究課題にも直接関係するものである。分析枠組みを作り、実証研究に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額が生じた理由はデータベースの構築作業に遅れが生じたためである。 分析枠組みを作り、次年度に改めて作業に取り組むべく「人件費・謝金」の予算を充実させる目的で次年度に使用することとした。 日本企業の新興国における事業展開に関するデータベースは十分に整備されているとはいえないので、この作業には多くの時間と手間が必要となる。研究協力者の雇用が不可欠であるため「人件費・謝金」として使用する計画である。
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Research Products
(2 results)