2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
鹿住 倫世 専修大学, 商学部, 教授 (00349193)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 女性企業家 / 創業支援政策 / 成功事例 / 台湾 / ベトナム / 現地調査 / 事例調査 / 職業経験不足 |
Research Abstract |
職業経験不足の女性への起業支援策の先進事例および支援策活用事例の収集を行うため、平成25年度は台湾およびベトナムでの現地調査を行った。平成25年10月には、台湾行政院労工委員会が講じている女性創業支援施策である「鳳凰プログラム」を活用して創業した女性企業家4名へのインタビュー調査、女性企業家に対するコンサルティングを行っている専門家2名、および政策実施機関である労工委員会労工福利処へのインタビュー調査を実施した。さらに、平成26年2月に台湾を再訪し、経済部中小企業処が実施している女性企業家支援政策「飛雁プログラム」の担当部署(中小企業処創業組)および政策実施機関(財団法人中山管理教育基金会)担当者へのインタビュー調査を行った。台湾では、職業経験不足や知識不足の女性やシングルマザーなど、より支援を必要とする女性の創業支援は「鳳凰プログラム」で行い、成長発展が見込める事業を行う女性への支援は「飛雁プログラム」の対象とするという役割分担をしている。本研究の趣旨に沿った支援策は鳳凰プログラムであり、同プログラムを活用して成功した女性の創業プロセスをみると、事業アイデアは自分のプライベートな経験(家族や家庭生活に関するもの)に基づくものであるが、規模の拡大やビジネスを意識した時点でコンサルタント等の助言を受け、設備投資や販路拡大を行い、事業を成長軌道に乗せていることがわかった。 また平成26年9月にはベトナムのハノイ市を訪問し、3名の女性企業家に対するインタビュー調査を行った。3名ともハノイ国民経済大学の経営者向けセミナーを受講しており、事業化にあたってはビジネスの専門知識や専門家のアドバイスが役立ったことがわかった。 国内では、品川区創業支援センターや新宿区立創業支援センター、沖縄ガールズスクエアを訪問し、女性への創業支援プログラムや支援事例について情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、女性の起業支援プログラムの先進事例調査として、海外調査としては台湾およびベトナムの現地調査を行った。国内の女性起業支援プログラムについては、平成25年度は3か所の実施機関への調査のみにとどまった。 台湾での調査は、研究協力者である工業技術研究院の何佳娟氏が2月に産休に入ったため、追加調査は平成26年度後半以降になる。またベトナムにおける調査は、ハノイ国民経済大学の協力によって実施しているため、ホーチミン市など南部の起業支援プログラムや活用事例について収集できていない。また台湾、ベトナム以外のアジア地域および欧米の女性起業支援プログラムに関する情報収集については、同分野の国際学会が平成26年度にスイスで開催されることから、次年度に実施することになる。 国内の女性起業支援プログラムについては、東京都内の事例および沖縄の事例しか調査できなかった。海外調査とともに国内の遠隔地での現地調査を行うことはスケジュール的に困難であり、平成26年度は調査実施スケジュールを綿密に立案し、国内現地調査も充実させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、台湾、ベトナムについての追加調査および他のアジア地域、欧米における女性起業支援プログラムの情報収集を行う。必要に応じて、香港やシンガポールなど、他のアジア地域についても現地調査を行う。台湾については、より先端的分野、成長分野において起業する女性の支援策である「飛雁プログラム」の概要や実績を把握しているが、さらにプログラムを活用した女性企業家へのインタビュー調査を実施する必要がある。また、欧米各国の女性起業支援プログラムについて、国際学会への参加等を通じて情報収集していきたい。 国内調査については、さらに多くの支援プログラムの調査およびプログラムを活用した女性企業家への調査を実施する予定である。特に、平成25年度に現地調査を行った沖縄ガールズスクエアでは、シングルマザーの起業支援のため、キッチン設備を整備し、食品加工や飲食業における起業支援に力を入れることにしており、その活動プロセスそのものが先進事例として調査対象になり得る。今後も継続して調査を行う予定である。 平成26年度は、これまでの先進事例調査から職業経験不足の女性に対して有効な起業支援プログラムの内容を整理し、また成功した女性企業家の起業プロセスを分析し、それらに基づいて日本の同様の女性企業家に対して起業意識、起業プロセス、課題、ビジネス知識やスキルの獲得方法、ビジネス化のきっかけなど統一の調査項目に基づいて対面調査あるいは書面による調査を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に実施した国内現地調査が沖縄県1件のほか東京都内2件であったため、国内出張旅費の使用が予定より少なかった。また海外現地調査についても、台湾2回およびベトナム1回を実施したが、ベトナムについては他の用務での訪問時に実施したため、旅費を計上していないため、予算額を下回った。 平成26年度は、台湾現地調査2回、ベトナム現地調査1回およびスイス、サンガレン市において開催される国際学会(Rencontres de St-Gall)における情報収集・情報交換を予定しており、海外現地調査旅費等の支出は当初予算を上回る支出が予想される。 また、国内現地調査も東京以外の地域での実施を予定しており、当初予算どおりもしくは上回る支出が予想される。
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Research Products
(2 results)