2014 Fiscal Year Research-status Report
アセアン諸国現地大企業におけるトップ経営者とミドル管理者の役割の国際比較
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25380531
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
高橋 由明 中央大学, 商学部, 名誉教授 (10055212)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アセアン諸国 / トップとミドル管理者 / 本社と子会社 / インドネシア / フィリピン / マレーシア / ベトナム / タイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、統一アンケートとインタビューにより、アセアン現地大企業のトップ管理者とミドル管理者の役割を国際比較し、その研究結果からその国のある企業の管理方式の積極点と消極点を比較し、改善方策を提示することにある。ここでのトップとミドルの役割の解明とは、1つは、事業部や子会社を全体的に統制管理する本社のトップと、事業部・子会社の長の役割を比較するには、本社の取締役会と執行役会と事業部ないし子会社の長の関係を明らかにすること、2つは、本社のトップによる事業部・子会社の統制の重要な手段である、予算による管理の内容を明らかにすることである。 各国から大企業3-5社を選び上記の点について比較の視点から明らかにする。さらに、計画と結果の差異から、次期の計画を立案する管理過程を具体的に明らかにすることである。 昨年の25年度は、マニラに立地する、Ayola コーポレーション、First Philippine Holdings コーポレーションを訪問し、アンケートの回収も出来た。今年度26年度は、予定では、マレーシア、インドネシアを訪問しインタビューをする予定であったが、インドネシアは、調整が円滑に進まず、最終的には8月のマレーシア(2社訪問)と3月のベトナム(2社訪問)で終わった。 マレーシアではZinazman Bin Mustafu の子会社Tan Chong & Sons Motor Companyと自動車部品会社APM の2社を訪問した。ベトナムでは、サイゴンビールと通信機器などを製造するPOSTEF社の2社でインタビューとアンケート回収を行った。2社とも、予算管理は実施されていたが、計画数値と実績数値の差異分析を厳密に実施し、その差異の発生した理由を把握し、次期の計画立案に生かしているかどうかについては、あまり明確な回答はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では、アセアン諸国、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムの大企業5社を選抜し、トップ管理者とミドル管理者の役割の比較を、取締役会と執行役会の関係(本社の役員が事業部長・子会社の長が兼任しているかどうか)、さらに本社による事業部・子会社を予算による管理(計画と実績の差異分析)の実施状況の把握をすることであった。 それを実施するにあたり最初の困難な点は計画書作成時点で未決定であったインドネシアから協力研究者を見つけることが出来ないでいることである。上記5カ国の研究者に本研究への協力をとりつける交渉・調整では、マレーシアではUtala 大学の教授、フィリピンではアジア経営研究所(AIM)の研究者(所長)、ベトナムでは、ダナン経済大学の講師、ハノイ国民経済大学の講師の協力を得て、一部遂行してきた。しかし、タイとインドネシアに関しては、適当な協力者を見つけられず、たとえば、インドネシアでは、26年度3月に予定していたインタビュー調査は出来ずに終わった。最終27年度の7月か8月に実施できるように、現在交渉中である。 困難な第2点は、インタビューした約3分の2の会社は、会社の組織図を内部資料とし公開してくれないことにある。それにより、本社がどの産業分野の事業部・子会社を管理統制しているかを把握するのに時間がかかり、また全体を把握し得ないことである。さらに、調査は多くの場合、3泊4日で実施しているが、1回の調査では多くて3社で調査しかできず、計画した5社のインタビュー、アンケート回収は不可能であり、現地研究協力者の努力により5社に近づけるが、各国3社の比較になるかもしれない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年の27年度は、7月にインドネシアの知人と連絡をとり、ジャカルタに立地する大企業2-3社を訪問し、アンケートによるインタビューを行なう。さらに、ベトナムでは、ソフト会社FPTとビナミルク社を訪問し、調査をする。 そして、各国の協力者に3-5社のアンケートを回収し、各国の結果をまとめてもらい、27年(2015年)12月初旬か2016年1月中旬に、ハノイ国民経済大学でマレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムの結果を発表・検討するワークショップないしシンポジュームを開催する。このことについては、ベトナムの研究協力者でハノイ国民経済大学の講師、グエン・ティ・ゴック・アン(Nguyen Thi Ngoc Anh)氏から同意を受けている。
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Causes of Carryover |
インドネシアでアンケートに基づくインタビュー調査をする予定が,協力研究者との調整が円滑に進まず,次年度に延期したたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度7月8月に実施の予定である。
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