2015 Fiscal Year Research-status Report
テレワークの総合的経済効果の検証とモデル化に関する研究
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25380532
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
中西 穂高 帝京大学, 知的財産センター, 教授 (00567399)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テレワーク / エネルギー / 節電 / 自宅 / オフィス / 空調 / モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
テレワークの効果のうち、特に節電効果についてモデル化を行い、その効果を発揮させるために必要な条件を明らかにした。 テレワークとエネルギー消費の変化に関する研究は多いが、前提となるテレワーク実施方法、消費電力の測定方法、対象機器、推計方法などが異なっているため単純には比較できない。このため、各試算の前提条件を統一して、テレワークによるエネルギー消費の変化を再試算した。また、テレワークとエネルギー消費の変化について、機器の利用形態(エアコンのように仕事場でいる人で共同で使用する機器か、パソコンのように個人で利用する機器か)及びオフィスの使用状況(テレワーク時にはオフィスを縮小あるいは閉鎖するか、オフィスを引き続き同じように使用するか)をもとにテレワークエネルギー消費モデルを作成した。共同利用タイプの機器の消費エネルギーは、テレワークの小規模な実施では変化しない。また、オフィス閉鎖を伴わないテレワークはむしろ消費エネルギーの増加につながる。こうした状況を踏まえ、テレワークが節電につながるための条件として、テレワーク先でのエネルギー効率の高い機器利用、テレワークに伴うオフィス閉鎖・縮小、家庭でのエアコン等の共有が重要であることが明らかになった。 なお、これらの成果については、2015年7月に奈良県三郷町で開催された日本テレワーク学会第17回研究発表大会及び同月に米国ラスベガスで開催されたInternational Conference on e-Learning, e-Business, Enterprise Information Systems, and e-Governmentにおいて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であるテレワークの効果の検証とモデル化のうち、テレワークの実施がエネルギー消費に与える影響について、既存文献を用いてメタ分析の手法で試算するとともに、エネルギー消費形態を踏まえたモデル化を行った。これにより、テレワークが省エネルギー効果を持つための条件を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、労働投入、労働生産性、TFP等エネルギー以外の経済成長に関わる要因にまで範囲を広げ、テレワークの総合的な経済効果を検証する。その際、テレワーク推進賞受賞企業11社の報告書を利用して質的分析及び数量的分析を行うことで、企業におけるテレワークの実施状況、設備投資動向、効果について把握し、モデルのパラメータとする。必要があれば企業調査を追加的に行う。
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Causes of Carryover |
次年度には、当初よりの予定通り、テレワークの経済性についての調査を実施するとともに、これまでの成果を整理して、論文としてまとめ、国際会議等で発表する。 なお、人件費については補助員を雇用せずにデータ処理を行ったことから今年度には発生しなかったが、次年度にはデータ取りまとめのために使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
企業におけるテレワークの実施状況について追加的調査を行うとともに、テレワーカーの働き方の実態についても調査を行う。これらのデータを整理するために経費を使用する。 平成28年7月25日-28日に米国ラスベガス市で開催される「The 15th International Conference on e-Learning, e-Business, Enterprise Information Systems, and e-Government」において論文発表を行うことが決まっていることから、同会議出席のために海外旅費を使用する。
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