2014 Fiscal Year Research-status Report
スマートシティ構想と日本企業の競争優位に関する研究
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25380534
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
所 伸之 日本大学, 商学部, 教授 (90237082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 充 日本大学, 商学部, 教授 (90366550)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低炭素 / イノベーション / 共創 / 競争優位 / 社会的価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続きスマートシティに関する国内外の文献収集とフィールド調査を行った。このうち文献に関しては、アジア、ヨーロッパ、北米等でスマートシティの建設プロジェクトが多数、進行しており、それらのプロジェクトを都市工学や都市行政、イノベーション、文明論といった多様な視点から分析した英語の文献を多数、収集した。本研究の分析アプローチは、あくまでも経営学をベースにした企業の競争優位の視点からのアプローチであるが、こうした多様な分析視点を学ぶことは本研究を理論的に深化させていくうえで重要である。 一方、フィールド調査については、東芝に対するヒアリングを実施した。調査の目的は、横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)の具体的な成果や課題を探ることであった。東芝はYSCPの中核メンバーであり、YSCPが実施した多くの実証実験に参加している。ヒアリングでは、異業種の企業間のコラボレーションの進め方や具体的な成果、今後、ビジネスとして展開していくうえでの課題等について聞き取りを行った。同様に、日立製作所に対してもヒアリングを実施した。日立も東芝と同様にYSCPの中核メンバーであり、主に日産自動車とのコラボにより、次世代交通システムに関する実証実験を担当している。当初は東芝と同様に対面による聞き取り調査を予定していたが、諸般の事情により文書による回答という形式をとることとなり、現在、同社からの回答を待っている状態である。 こうした状況を踏まえて、本年度は研究成果の中間報告として学術雑誌に2本の論文を投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画は概ね順調に進展している。本研究の柱は、スマートシティに関する国内外の文献収集とフィールド調査の2つであるが、両方ともに、現在までほぼ順調に進展している。すなわち、文献収集に関しては、スマートシティに対する社会的な関心の高まりを背景に国内外において多数の学術書、論文が出されており、それらを収集し、精読することで多様な視点を学ぶことができている。一方、フィールド調査についても、dSPACE Japan、パナソニック、東芝等、スマートシティプロジェクトに参加している中核企業から直接、有益な話を聞くことができた。また、スマートシティに関するセミナーなどにも積極的に参加し、最新の動向に関するデータを集めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更については、フィールド調査に関して豊田市、けいはんな学研都市、北九州市のプロジェクトにまで手を広げずに、横浜市のプロジェクト、Fujisawa SST、横浜スマートコミュニティの3つのプロジェクトに絞り、深掘りした方が「共創による競争優位の構築」という本研究課題に関して有為な知見を引き出せる可能性が高いことが、研究課題を遂行する過程でわかってきたため、今後もその方針に沿って研究を進める予定である。上記した3つのプロジェクトは、異業種の企業間による共創の環境がかなり異なっており、それらを比較検証することで価値共創に関するユニークな知見を導出できるものと思われる。すでに研究成果の一部は、中間報告という形で学術誌に発表しているが、今後は最終的な取りまとめを行い、英文で海外に研究成果を発信する予定である。
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