2014 Fiscal Year Research-status Report
アジア新興市場における共生型の異文化マネジメントモデルの探求
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25380543
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
太田 正孝 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00123068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 重輔 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (30468855)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 異文化マネジメント / 国際知識移転 / 組織効果 / グローバルリーダーシップ / サービスビジネスの国際化 / アジア新興市場 / 多国籍企業の本社-子会社関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、研究代表者(太田)がサバティカルでIMD(3月末から6月末)ならびに Cambridge Judge Business School(7月初めから9月末)に滞在した機会を活用し、海外研究者との本研究課題に関するコラボレーションを推し進めた。 IMDではサプライチェーン・マネジメントを専門とするProf. Carlos Cordonと、ヤマト運輸の宅急便(海外ではTA-Q-BIN)のアジアリージョナル戦略ならびに羽田クロノゲート、厚木ゲートウエイ、沖縄国際物流ハブをリンクさせるバリューネットワーキング構想に関する分析を進めた。その成果として、本年2月にProf. Cordonが来日し、ヤマト運輸本社で共同インタビューを実施し、現在、IMD・早稲田共同ケースとして執筆中(8月完成予定)である。 Judge Business Schoolでは、組織論を専門とするProf. Jonathan Trevorと、TA-Q-BINのコアコンピタンスであるセールズドライバー(SD)を上海、シンガポール、香港、マレーシア市場で育成する際の国際知識移転、その結果として生じる組織効果に関する共同研究を進めた。これについては、日本型サービスビジネスの国際知識移転と組織効果に関する、日本目のIMD・早稲田共同執筆ケースとして27年度中に完成予定である。 もう一つの進展は、研究分担者(池上)が手掛けてきた豊田通商のグローバル知識移転戦略に関するリサーチが一橋大学国際企業戦略研究科に提出するDBA論文(Headquarters-Subsidiary Perception Gap on Subsidiary Roles: Impact on Subsidiary Performance and Expatriates' Moderating Role)として結実したことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述のとおり、IMDならびにJudge Business Schoolでの共同研究が予想以上に進捗したことが大きな理由である。とりわけ、本研究課題の中核的企業事例であるヤマト運輸のTA-Q-BINのアジア展開に関するIMD・早稲田の共同ケースの執筆が、複数実現しつつあることは画期的である。 研究代表者(太田)がスイスならびにイギリスに3月から9月末にかけて滞在することで、本研究課題の国際的インプットは大きく前進したが、他方において、国内での研究活動、そしてアジア新興市場でのフィールドリサーチの進捗が若干スローダウンしたことは否めない。この点は学会発表、論文執筆、著書執筆といった具体的なアウトプットが十分でないことに表れている。 しかしながら、【今後の研究の推進方策 等】で述べるとおり、26年度の貴重なインプットが著書、論文、ケースといった27年度のアウトプットに直結する形で蓄積されていることを考えれば、実質的にマイナス点にならないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度に蓄積されたインプットは現在、1)太田正孝編著『異文化マネジメント 理論と実践(仮題)』同文舘出版社(27年12月出版予定)、2)太田正孝監訳『異文化リーダーシップ 文化を超えるCEO効果(仮題)』中央経済社(27年9月出版予定)、3)ヤマト運輸に関するIMD・早稲田共同ケース2本(「TA-Q-BINのアジア進出」「SDの国際知識移転と組織効果」)などのアウトプットとして27年度中の完成を目指して執筆中である。 特に、『異文化マネジメント 理論と実践(仮題)』は第一部(理論編)と第二部(実務編)とに分かれるが、理論編は本研究課題の中心テーマでもあるCDEスキーマのレンズから纏められており、異文化マネジメントの著書としては画期的なものである。また実践編では、本研究課題でフィールドリサーチの対象となったヤマト運輸のTA-Q-BIN、電通アジアのDNAカレッジ、康師傳の中国市場戦略を含む、貴重かつ豊富なケースに基づいて考察されている。 これら確定しているアウトプットを踏まえて、次年度以降の科研費プロジェクトを獲得するために、太田はTA-Q-BINのアジア新興市場における国際知識移転に関する、より詳細な論文を執筆するためのフィールドリサーチを上海、香港、シンガポール、マレーシアで推し進め、池上は豊田通商のグローバル知識移転戦略に関する更なるフィールドリサーチを推し進める。 こうした印刷物に加えて、内外の学会において研究成果を積極的に発表するとともに、 日本企業でのエグゼクティブ・プログラムにフィードバックすることも展開していく。
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Causes of Carryover |
代表者(太田)がサバティカルで3月末から9月末まで欧州で研究教育活動をしており、本研究課題の直接的な研究活動を中国、ASEANなどで展開することが時間的に制約されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度は上記理由のため、アジアにおけるTA-Q-BINの現地オペレーションに関する研究出張が一度しか実施できなかった。最終年度となる27度は繰り越し額の141,328円を有効活用することで、アジアでの研究出張の回数を多くするなどして研究成果を高める。
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Research Products
(5 results)