2014 Fiscal Year Research-status Report
科学知に基づく多角化を可能にする組織能力の構築プロセスに関する研究
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25380547
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
河野 英子 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (40352736)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多角化 / 組織能力 / 科学知 / サプライヤー / つながり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、科学知に基づく多角化を可能にする組織能力の構築プロセスを、サプライヤーを分析対象に探求するものである。 本年度は、エンジニアリング型産業である自動車から、サイエンス型産業の一つである医療への多角化を成功させた先進成功例を中心に、分析を行った。 具体的には、先進成功例として高く評価されている企業事例に焦点をあて、企業経営者、事業担当者、および当該事例に関わってきた医療推進団体担当者といった、関係する多様な主体に対するインタビュー調査を、平成25年度、26年度に渡り、複数回行った。それにより、同社における医療への多角化過程とそこにおける組織能力の構築プロセスの詳細な把握が可能となった。自動車から医療への多角化で成功したサプライヤー事例が希少であること、注目度が高まってきている同社に対する学術的研究がないことから、本事例の考察は今後の研究の発展に何らかの意味を持つ可能性がある。 当該事例について明らかになった点は、以下の通りである。弱いつながりを広く形成するなかで必要となる知識を獲得していたこと、それらつながりのなかのいくつかを強いつながりに育て、医療機器産業への多角化を成功させるために乗り越えるべき壁-技術、規制、市場-を段階的に乗り越えていたこと、つながりのなかで学習が行われたことにより、下請けメーカーから自社製品を持つ医療機器メーカーへ、なかでも日本企業が不得意としてきた治療機器系メーカーへと展開することができたということ、である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象対象機関・企業との関係を深化させてきたなかで、多角化を成功させた先進的成功事例に焦点をあて、分析を行い、その一部をまとめる段階にきていること、次の研究成果に結び付く可能性が高い調査・分析が進んできていることから、おおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、以下の点に基づきながら、今後の研究を推進していく。 1.複数の先進成功例の事業展開プロセスの詳細な分析 2.先進成功例の横断的分析に基づく共通論理の抽出 3.多角化を可能にする組織能力構築プロセスについての概念構築
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Causes of Carryover |
物品購入をより安価なものにする過程で、計画額との差額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度物品費に算入し、使用していく計画である。
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