2013 Fiscal Year Research-status Report
自動車メーカーの新興国市場におけるSCMと完成車物流-日韓主要メーカーの戦略-
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25380550
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
李 在鎬 京都橘大学, 現代ビジネス学部, 准教授 (40342133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 在恒 明治大学, 国際日本学部, 准教授 (20396823)
崔 裕眞 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 准教授 (20589725)
富山 栄子 事業創造大学院大学, 事業創造研究科, 教授 (40449426)
塩地 洋 京都大学, 経済学研究科, 教授 (60215944)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | SCM / 育成型 / 連携型 / 戦略 |
Research Abstract |
平成25年度の研究計画のポイントは、第一に、分析モデルを設定し、先行研究レビューを行い、第二に、日本自動車工業会、韓国自動車協会、Fourin やIRC 等の各種業界、研究所調査資料を収集し、テータベースを構築し、第三には、日本と韓国の主要メーカーとディーラーへの実地調査を開始し、各社の販売組織のSCM と物流ネットワークにアクセスする、という3点である。 当該年度はこのような研究計画に依拠し、主要メーカーを焦点組織として捉える視点と、サプライヤーを焦点組織として捉える視点との複眼的な視点から、研究を遂行してきた。研究代表者の李は、サプライヤーを主体とする視座にたち、サプライヤーの意思決定における重点が、日常のオペレーションの向上から大局的な戦略的判断事項に移行しつつあることから、サプライヤーを主体として想定した戦略分析枠組みの構想に着手し、一定の成果を得た。このような観点から、従来の製品軸と市場軸の枠組みに加え、コア・コンピタンスとグローバル展開という2つの軸を加え、4つの側面からなるサプライヤーの成長戦略を捉える実践的な枠組みを提示した。 第二のデータベース化においては、主要200部品の1999年より2012年までの日本のおける取引関係を可視化できる基盤が整いつつある。韓国のデータは収集上の困難はあるが、継続していきたい。第三の主要メーカーへの実地調査の進行状況の面では、近年のトヨタの全社的組織改編(第1トヨタ、第2トヨタ、ユニットセンターと職能部門のクロス化)とTNGAという新たな新車開発の思想に関する実地調査を行い、いわば育成型の日本的SCMの変容の可能性についても検討してきた。また、現代自動車、GM大宇、三菱自動車水島製作所にも、実地調査を行い、同社のグローバルサプライシステムと物流についててデータを集めつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、明確な分析視点と、一定の独創性のある分析枠組みという研究遂行上の初期環境が整いつつあるという点である。 第二に、データベース化においては、日本における主要サプライヤーに関するデータベースが時系列に整理され、国内サプライシステムが概観できるようになったという点である。 第三に、計画的な実地調査が進められてきた点をあげることができる。例えば、国内のサプライヤー調査においては、当該年度のでみで20社以上について実地調査を行い、データを蓄積してきた。また、完成車のグローバル流通については、東南アジアや中国、韓国を中心に充実したデータの収集が行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、日本の場合、日産やホンダ、マツダについては、その重要性にも拘わらず、これまで十分な実地調査が遂行されていないため、今後は、これらのメーカーについても精査していく必要がある。 第二に、韓国メーカーの海外拠点調査は、主に中国と東南アジアに傾斜してきている。北米とヨーロッパについての調査研究が求められる。 第三に、サプライヤーを取り巻く環境変化はさらに加速化している。これまではグローバル化に注目してきたが、エコカーの実用化によるSCMや物流システムへの影響についても目を配るべきである。既に現代自動車とトヨタ、ホンダは近年水素燃料電池車を量産する体制を整っている。このような調査は、先進国市場で先行すると思われるため、ヨーロッパや北米に関する調査研究を強化していく必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な理由としては、研究と業績との逐次実行と海外研究協力者との調整などがあげられる。また学内業務変動による影響もあると思われる。 次年度においては、さらにデータの質を高めるため、幅広く1次データを収集していく。また、海外研究協力者との人脈を活かし日韓主要自動車メーカーの海外生産拠点に対する調査を強化していく。
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Research Products
(14 results)