2015 Fiscal Year Research-status Report
自動車メーカーの新興国市場におけるSCMと完成車物流-日韓主要メーカーの戦略-
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25380550
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
李 在鎬 京都橘大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40342133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 在恒 明治大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20396823)
崔 裕眞 立命館大学, その他の研究科, 准教授 (20589725)
富山 栄子 事業創造大学院大学, その他の研究科, 教授 (40449426)
塩地 洋 京都大学, 国際公共政策研究科, 教授 (60215944)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グローバル・サプライ・チェーン・マネジメント / 現代自動車 / 選択的重点的現地適合化戦略 / 動態的デザイン能力開発 / 同伴進出 / 部品国産化 / 現地調達率 / 振興国 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度における研究実施計画は、第一に東ヨーロッパなどの新興国への実地調査、第二に、日本と韓国両国の自動車産業におけるグローバル・サプライ・チェーン・マネジメントの調査結果の実業界への還元、第三に研究書の出版、および国内外学会での発表であった。 第一の東ヨーロッパへの実地調査は実現しなかったが、平成27年の6月にはスペインやポルトガルの日系自動車の販売拠点を訪問し、現地における日韓自動車メーカーの販売競争と補修部品の調達システムについて調べることができた。 第二の計画について、富山栄子は選択的重点的現地適合化戦略を展開する韓国自動車メーカーのロシアへの機動的な進出に寄与した要因の一つとしてメーカーとサプライヤーの同伴進出を取り上げた。しかし、ロシア政府による現地調達率の引き上げという環境変化の中で、戦略上の優位性が希薄化する可能性を示唆している。 一方、崔は、現代自動車の動態的デザイン能力開発に注目しているが、それを可能にしているのは、ボディーのデザイン(Styling)と車体の仕組みとのモジュラー化であり、よって相当な程度、部品調達から独立してデザインの裁量が得られるという示唆につながる。 第三の課題については、塩地洋・中山健一郎編著(8名共著)『自動車委託生産・開発のマネジメント』中央経済社(予)において、李と塩地がそれぞれ論文を収録し、現代自動車グループと日本の自動車メーカの委託生産における部品調達の物流と契約の流れについて明らかにした。さらに塩地は、「自動車産業における部品国産化ライフサイクル」『アジア経営研究』第21号, 2015年8月で、新興国における部品の国産化率の増大に伴う部品コストの増大についてコストペナルティカーブを援用して分析し、当該分野をさらに深化した。 また、李、塩地、富山、崔は当該分野において国際学会で研究発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の3年目にあたる今年度の主な目標は、これまでの研究成果を国内外の学会に発表し、それらでの議論からさらに洞察を深めることであった。これに対して、本年度は代表者および分担者が国内外で定評ある主要ジャーナルに査読付き論文を掲載しており、李、塩地、富山は主要な出版社から研究書(共著)の上梓を予定しており、目に見える形で豊富な研究成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
実証研究計画においては、現代自動車の海外生産拠点への研究者のアプローチが年々厳しくなっていることから、当初の調査先を一部変更せざるをえない場面があった。また、程度の差はあるものの、同様の研究遂行上の困難は、日系メーカーの調査においても共通して直面しているもので、今後の対策が求められる。 これに対して、研究年度を一年繰り越し、早期の手配を進める一方で、メキシコなど新たな調査先を開拓することを検討している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生したのは、日韓自動車メーカーの海外生産拠点におけるサプライヤーチェーン調査の一部が遅れたからである。海外調査先の手配が厳しくなっている研究環境の変化が主な理由である。また、研究者の職務環境にも変動があった。第一に、今年度中に研究代表者の所属機関が変わり、当初の計画通り、研究の統轄が進まなかった。第二に、研究分担者の中にも、所属機関での学務の負担と責任が増大し、研究遂行に支障がでている人がいる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
日韓自動車メーカーの海外生産拠点において当初は東ヨーロッパの実地調査を計画していたが、特に現代自動車の海外生産拠点への実地調査に支障がでた。そこで、近年メキシコが注目されていることから、メキシコへの調査を試みる。すでに、塩地は日系メーカーやサプライヤーのメキシコ生産拠点を調査する予定である。
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Research Products
(19 results)