2013 Fiscal Year Research-status Report
パラメータの時点変化を考慮した長期交通需要予測モデルの構築
Project/Area Number |
25380564
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三古 展弘 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00403220)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 消費者行動 / 交通行動 / 交通手段選択 / 需要予測 / 国内総生産 |
Research Abstract |
過去の複数時点のデータが利用可能でも,需要予測には直近の1時点のデータのみが用いられることが多い.しかし,筆者は過去の複数時点のデータを同時に用いる方法を提案し,直近の1時点のデータのみを用いるよりも高い予測精度が得られることを示した.筆者の提案した方法では,パラメータが分析者の特定した関数に従って経年変化することを許容している.そのため,将来時点のパラメータを予測することができ,将来の需要予測がより正確になるという構造になっている.これまでの筆者の研究ではパラメータを西暦年の関数で表現していたが,本年度は1人当たり実質国内総生産(GDP)の関数による表現を行った. 中京都市圏の1971,1981,1991年のデータを用いて出勤交通手段選択モデルを構築し,2001年の行動を予測した.その結果,1971,1981,1991年の3時点のデータを用いてパラメータを1人当たり実質GDPの関数で表現したモデルのほうが,同じ3時点のデータを用いてパラメータを西暦年の関数で表現したモデルよりも,より良い予測を行うことができた.また,これらのモデルはいずれも直近の1991年のデータのみを用いたモデルよりも予測精度が高かった. 関数形による予測精度の違いについては次のように考察できる.西暦年の関数の場合,1991から2001年までの10年間のパラメータの変化は,1971から1981年や1981から1991年の10年間におけるパラメータの変化と同等であると仮定している.しかし,社会は常に同じスピードで発展するわけではなく,この仮定は適切ではない可能性がある.もし,交通行動が経済状況とも密接に関係しているのであれば,経済状況を表現する1人当たり実質GDPの関数のほうが適切な可能性がある.本年度の分析では,この可能性が実証的に示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り,パラメータを1人当たりGDPの関数として表現することによってモデル化した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り,他都市への適用と調査費用の削減の観点から分析する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
図書,ソフトウェア,文房具,英文校閲に関して,予定よりも安く入手できたり他の予算で入手できたりしたため,当該助成金が生じた. 発生した当該助成金は英文校閲費に充てることを予定している.
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