2013 Fiscal Year Research-status Report
交換後の顧客の消費プロセスにおけるマーケティングの研究
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25380565
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
村松 潤一 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (30182132)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 価値共創 / サービスドミナントロジック / 企業システム |
Research Abstract |
本研究は、交換後の顧客の消費プロセスで行われるマーケティングを、企業と顧客による価値共創という視点から解明するものである。さらに、価値共創が企業システムに与える影響について検討を加え、新しい企業システムのもとで展開される新しいマーケティングの理論化を意図するものである。 本年度の課題は、第一に、価値共創に基盤をおく企業システムの理論モデルを精緻化すること、第二に、サービス業を対象にしたモデル分析を行うこと、にあった。 前者については、先行研究の詳細なレビューから得られた知見をもとに、研究代表者によってすでに提示されていた企業システムのモデルを精緻化した。すなわち、企業システムにおける鍵概念のひとつである市場創造をワンウェイ・コミュニケ-ションからツーウェイ・コミュニケーションを本質とした企業と顧客の価値共創に置き換え、価値共創を基盤とする企業システムとの連結を図った、その際、企業と顧客の関係を直接的な関係のみに限定したことがモデルの精緻化につながった。 後者については、サービス業A社を対象にモデル分析した。具体的には、従業員と顧客による価値共創がどのように行われているかを明らかにするとともに、それが企業システムの態様にどのような影響を与えているかを分析した。それによれば、価値共創は、従業員が顧客の消費プロセスに入り込み、顧客が「楽しむ」ことに対して同調的行動をとることで達成され、また、企業が組織的にそうした状況を創り出すことで価値共創が促進されていることが明らかとなった。すなわち、従業員に対するマネジメントが、いわゆるインターナル・マーケティングの考え方に基づき実施されており、価値共創への取り組みが新たなマネジメントへの転換が求めたと理解することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に挙げられた二つの研究課題に対して、ほぼ予定通りに研究が進められ、相応の結果が得られたことから、25年度の研究達成度は、おおむね順調であると判断した。 しかし、第一課題については、早急に対策を検討すべき点が残った。 すなわち、第一課題の企業システムモデルの精緻化については、研究代表者によってすでに提示されていた企業システムモデルをもとに行われた。いうまでもなく、当該モデルは、十分な先行研究レビューを踏まえたものであったが、今回の研究にあたっては、その後の先行研究についてもレビューし、当該モデルそのものに対する再検討を行うことも必要であったといえる。 この点は、「今後の研究の推進方策 等」でそのための対策について明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の研究を進めていくなかで浮き彫りとなったのは、研究計画の線形的な進め方に関するものであった。すなわち、研究は計画に基づいて実施するが、時間の経過のなかで、レビューすべき先行研究は増えていくのであり、それを常時フィードバックする仕組みを取り入れる必要がある。また、このことは、年度毎の課題に対する研究結果についてもいえる。 そこで、26年度以降の研究では、当初の計画に含まれていない先行研究レビュー及び研究成果のフィードバックを同時に行いながら研究を進めていくこととした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究開始当初より、資料整理要員を確保する計画であったが、予定していた人材の都合により採用が遅れ、謝金の使用が減額となった。そして、その分を繰り越したため、次年度使用額が生じた。 複数の資料整理要員に最大限の作業時間をあてがうことで、謝金の使用を円滑に進めていく計画である。
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