2014 Fiscal Year Research-status Report
交換後の顧客の消費プロセスにおけるマーケティングの研究
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25380565
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
村松 潤一 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (30182132)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | S-Dロジック / 消費プロセスへの入り込み / 価値共創 / マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の調査分析、研究報告等を行った。 (1)小売業を対象とした価値共創と企業システムに関する調査分析-小売業の調査先として、はるやま商事(株)を取り上げた。もともと同社は顧客参加型経営を目指しており、本研究において最適な事例であった。そして、調査結果から、同社は商品や店舗の共同開発だけでなく、顧客の消費プロセスへの入り込みに関して様々な試行を繰り返していることが明らかとなった。即ち、同社は交換時点における顧客接点の時間的な拡張を図っている。この顧客の消費プロセスへの入り込みは、本研究がいう価値共創のマーケティングそのものである。(2)製造業を対象とした価値共創と企業システムに関する調査分析-製造業の事例としては、(株)コマツ製作所のコムトラックスによる価値共創マーケティングについて調査分析した。コムトラックスとは、販売した建機に取り付けた情報端末器を用いた情報システムのことであり、この仕組みを通じて得られた情報は同社、代理店、顧客で共有され、顧客の消費プロセスで発生する様々な問題の解決が同時的に行われていることが明らかとなった。これは、B to Bの事例であるが、顧客の消費プロセスへの入り込みという点で優れたマーケティングが行われているといえる。(3)研究報告等-調査分析の結果は、それぞれディスカッションペーパーに纏め、また、学会で研究報告した。さらに、理論研究及び実証研究の成果を書籍として公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に推移し、これまでの2年間に亘る研究の成果を、ディスカッションペーパーに纏め、また、学会で研究報告を行った。そして、理論研究の成果と実証研究の成果を区分した上で、それぞれ、論文に著し、2015年3月に発刊された学術書に掲載した。以上、本研究においては、良い調査結果及び成果の発表機会に恵まれ、計画以上の進展をみせている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度としては、以下の課題を取り上げる。 (1)製造業を対象とした価値共創と企業システムに関する調査分析 BtoCの製造業としてマツダ(株)を調査先とする。具体的に、BtoCの世界では、どのようにして顧客の消費プロセスに入り込むことができるかについて検討する。 (2)モデルの有効性の評価と包括的なマーケティング体系の提示 本研究はマーケティング研究における未開拓領域を埋めるものであり、この最終年度後期では、まず、本研究で用いた企業システムモデルの有効性を調査分析での利用経験から確認し、一層の精緻化を図る。また、調査分析の結果を踏まえ、顧客の消費プロセスのマーケティングを明らかにし、既存の伝統的なマーケティング研究との連結を図り、包括的なマーケティング体系を提示する。
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Causes of Carryover |
理由は以下の通りである。(1)当初予定していた高額図書が入手できなかったこと。(2)資料整理が予想以上に捗り、人件費・謝金が低く抑えられたこと。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定としては、(1)高額図書を購入する、(2)集中的に資料整理をおこなう、ための経費として使用する。
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Research Products
(9 results)