2014 Fiscal Year Research-status Report
非認知型購買行動における購買態度に対する媒体注視率の影響
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25380566
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
閔 庚ヒョン 香川大学, 地域マネジメント研究科, 准教授 (40508206)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非認知型購買行動 / 媒体注視率 / 環境的要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、店内における消費者の誘因非認知型購買行動に影響を与える潜在的誘因効果に関して、当該誘因効果をより明確に規定するための模索装置として店内コミュニケーションの主たるツールの一つであるPOPの誘因効果に注目しつつ、当該購買行動に影響を与える各誘因の時系列的評価のみならず、操作誘因に対する注視率と態度間の相関関係を抽出し検証することを目的としている。 本年度は、昨年度行った事前調査の分析結果で提示されている検証モデルをさらに拡張し、認知的要因と環境的要因の影響によるPOPのコミュニケーション効果及び購買行動の非認知的な側面を検証するべく、合計200名を対象に、ウェブ上に具現した模擬店舗でのシナリオ実験を行った。次年度(平成27年度)実施予定の店内における注視率測定の準備作業の一環として行った本調査では、全4段階・計8回のシナリオとインタビュー及び追跡調査を代替する自由回想法に基づき、「認知的要因の評価難易度の変化による選択行動の相違」「認知評価に対する情緒的・非認知的反応の補完効果」「情緒的・非認知的反応の強化過程における近似オプションの役割」に焦点を当てつつ、POPの情報形態を媒介とした購買関連の選択手続きにおける各操作要因の代替的誘因効果の相対的水準に関する検証を行った。その結果、既存の情緒的・非認知的反応による態度及び成果行動が、比較的単純な認知的操作要因を加えるだけで顕著に強化されることが検証された。それにより、認知的・非認知的要因の混合情報で行動操作を行う際、成果行動の相違を見出すのにより有効な情報形態や提示順序に関する知見が得られた。 本年度の分析結果を基に、次年度はより多様な購買オプションが提示される実験調査を通じて、誘因別の認知率と注視率の関係や店頭における媒体へのGRPを明確に規定するための検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施したシナリオ実験の分析結果から、非認知型誘因操作が態度と情緒的信念の補完効果により成果行動へ影響を与えることが検証されると共に、当該操作誘因が独立変数というよりは認知的操作誘因に対する調整変数であることが確認された。このような分析結果が示している知見は、認知的・情緒的要因の混合情報を用いて行動操作を試みる際、最終的な成果行動に移行される過程における幾つかの先行変数を等式として単純化させることの妥当性を裏付けるものであると同時に、諸検証においてより高い説明力を有する評価モデルの所在を明らにするものでもある。本年度の調査は、次年度(平成27年度)実施予定の模擬店舗実験の設計上における誘因効果の所在とその測定方法をより精巧に規定するものとして想定した調査であり、注視率という新たな尺度を加え実施する予定の実験調査に用いられる誘因操作の精度及び操作設計の効率性を共に向上させるための諸作業に関する理論的根拠となり得る。その意味で当初の研究計画と照合すると、現時点における本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度実施したシナリオ実験の分析結果を基に、より現実に近い購買オプションが提示される模擬店舗でのインタビュー及び追跡観察調査を実施することで、購買態度に影響を与える誘因操作の効果と各誘因に対する事後想起による認知率、そして操作誘因に対する注視率との関係を検証すると共に、アイポイントカメラを用いた店舗実験を行い、購買態度及び成果行動に帰属される誘因別認知率の測定を試みる予定である。次年度実施予定の店舗実験では、店内における操作誘因(POP)の誘因効果を認知率と注視率だけでなく、統制条件全体の傾向との比較を容易にするべく、検証項目を以下の2点に絞り分析を行う。 1.店内行動及びカテゴリー内の媒体認知率:商品探索の段階から調査員による追跡観察を行うことで、通路別(店内)・商品棚別(カテゴリー内)の通行量及び媒体認知率の分析を共に行う。それによって、被験者の移動経路や操作誘因(POP)に対する個別効果、誘因間の優先順位、情報の提示順序による態度形成の相違の測定が可能になると期待される。 2.カテゴリー内の媒体注視率との関係:注視率測定実験では、本年度の成果に基づき、アイポイントカメラの映像分析による誘因認知と購買態度の測定実験を行うことで、誘因別の注視率と認知率の関係、そして店頭における操作誘因別のGRP(Gross Rating Point)の顕在化を試みる。注視秒数の計算には、フレーム数を数える方法で発生しがちな誤差を最小限に抑える装置として映像解析ソフトを併用することで、諸作業の精度と効率性の向上を図っていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、小規模の模擬店舗実験をウェブによる実験調査に代替することで、謝金・人件費等が当初の計画より節約できたことにある。特に、次年度実施予定の店舗実験では高額のアイポイントカメラが用いられる上、実験設計をより有効な成果として顕在化させるために被験者数や実験場所を見直しており、諸作業において生じ得る使用額の変動に備え、今年度の残額を次年度に当てることにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度未使用分の研究費は、機材価格や被験者数の変動等により増額される部分に使用する予定である。なお、次年度の研究費は、模擬店舗実験に参加する被験者及び実験調査員・協力者への謝礼と機材及び分析ソフトウェア、運営費等を主な経費として使用する予定である。その他に、研究に関連する参考書籍や実験室内で使用される設問票の製作等にも一定額を割り当てる予定である。
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Research Products
(1 results)