2015 Fiscal Year Annual Research Report
サンフランシスコ市の商店街活性化:協働型計画の役割に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
25380570
|
Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
畢 滔滔 立正大学, 経営学部, 教授 (70331585)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 商業 / 商店街再活性化 / 中心市街地再活性化 / 市民参加型まちづくり / 市民運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、市民参加型まちづくりの先駆け的都市であり、かつ衰退した商店街の再生に成功したアメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ市に関する事例研究を通じて、商店街の活性化に対して市民参加型まちづくりが果たす役割を明らかにすることである。各年度の取り組みは次の通りである。平成25年度は、サンフランシスコ市において市民参加型まちづくりが出現したプロセスを明らかにした上で、衰退した商店街の再生にどのような影響を及ぼしたのかを解明した。平成26年度は、サンフランシスコ市におけるマイノリティ住民が集中する地区に焦点を当てた研究を実施した。長らく差別されてきたマイノリティの地区において、市民参加型まちづくり制度が出現したプロセスを明らかにした上で、地区の商店街が人気観光スポットへと発展する過程において、当該制度が及ぼした影響を解明した。平成27年度は、過去2年間の研究結果をまとめた。研究から得られた結論は、以下の2点にまとめられる。 第1に、サンフランシスコ市では、市当局が商店街に対して補助金を提供することはほとんどなかった。同市の商店街の再生において、(a)市民参加型まちづくり制度、(b)小売業における起業家の輩出が最も重要な役割を果たした。市民参加型まちづくり制度によって、伝統的な住宅街と商店街は、都市再開発事業による取り壊しを免れた。また、起業家の輩出によって、商店街には個性的な店舗が集積し、市民と観光客両者にとって人気の高い場所となっている。 第2に、市民反対運動こそが、同市における市民参加型まちづくり制度の確立のきっかけとなった。1950年代から、同市では、高速道路建設事業や、伝統的な住区を取り壊す再開発事業に対する反対運動、さらにマイノリティの市民権運動が活発化した。同市では、これらの市民運動によって、市民参加型まちづくりが出現し、発展を続けてきたのである。
|
Research Products
(3 results)