2015 Fiscal Year Annual Research Report
カスタマイゼーション・サービスのジレンマに関する多変量解析
Project/Area Number |
25380571
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小野 晃典 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (20296742)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カスタマイゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
消費者は、カスタマイズ製品の購買経験の過小が異なれば、カスタマイゼーション・サービスが提供するカスタマイゼーションの幅に対するニーズについても異なる。つまり、経験の豊富な消費者は、様々な点で製品がカスタマイズ可能であることを企業に求める一方、経験に乏しい消費者は、大切な点のみ製品がカスタマイズ可能であることを企業に求める。それにもかかわらず、カスタマイゼーションを推進してきた企業は、その点を考慮に入れず、製品がカスタマイズ可能であるというベネフィットを標榜し、画一的なカスタマイゼーション・サービスを提供する傾向にある。これでは、経験に乏しい消費者にとっては、注文の煩わしさに苛まれて、カスタマイゼーションのベネフィットを享受できない。本研究は、この現状を「カスタマイゼーションのジレンマ」と呼称し、考えられうる打開策の立案を実施した。具体的には、第一に、カスタマイゼーションの対象となっていないパーツのカスタマイゼーションを実施する余地を探るという目的で、自動車の「顔」のカスタマイゼーションの可能性を探究した。第二に、カスタマイゼーションを煩わしいと感じる消費者のカスタマイゼーションを企業側がアシストする余地を探るという目的で、注文過程の中間段階において完成品イメージを企業側が提案するコンピュータ・システムの可能性を探究した。第三に、製品カスタマイゼーションと並んで広く普及している広告パーソナライゼーション実務の障害となりうる広告忌避問題を解消する余地を探るという目的で、ウェブ上のパーソナライズ広告を視聴者が忌避する原因を探究した。各研究の成果は幾つかの論文にまとめて国際学会において報告し、ICAMA(アジア・マーケティング学会連合)においてHonorable Mention Award(奨励賞)とBest Paper Award(最優秀論文賞)を受賞した。
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