2016 Fiscal Year Annual Research Report
Complaining in Service Failure
Project/Area Number |
25380577
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松下 光司 中央大学, その他の研究科, 教授 (40329008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土橋 治子 青山学院大学, 経営学部, 教授 (90333236)
齊藤 嘉一 明治学院大学, 経済学部, 教授 (50328671)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 商学 / サービスの失敗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、サービスの失敗に対する顧客の苦情発生の文化的差異を「文化的自己観」を規定因としながら、実証的に明らかにすることであった。その理由は、文化的自己観が、同伴者の存在や人間関係に対する配慮の違いを生むため、苦情発生に関しても違いを生むだろうという考えに基づいていた。われわれは、同時に、グループ・メンバーとのリレーションシップの質(コミュナル、エクスチェンジ)という要因が、文化的自己観とならび、苦情発生に対して強く影響を及ぼす要因となる可能性を想定した。同伴者に対して、いかなる配慮をし、苦情表明をするかどうかは、当該顧客が同伴者とどのような関係の質(日常的な言葉で言えば、人間関係)を築いているかにも同様に依存すると考えたからである。 本研究は、その違いがより顕著に現れる場面として、他の親しい顧客(例えば友人)と同時にサービスを享受する場面(グループ消費)に注目し、とりわけ他の顧客に対してサービスの失敗が起こったときの当該顧客の反応についての仮説を設定した。 仮説を検証するにあたり、インターネットを通じた仮想シナリオ実験を実施した。被験者には、レストランにおける友人との食事に関するシナリオを読んでもらい、そこでの感想を回答してもらった。いくつかのシナリオ、被験者の組み合わせを想定し、合計で4つの実験を行った。 主な発見物は、次のとおりである。(1)過去の研究は他者の存在が苦情を抑制する要因となることを示していた。本研究は、それとは逆に、他者の存在が、苦情発生を増幅する要因として働くことを示した。(2)低いサービス品質の改善のためや、不満足の発散のためだけではなく、友人との関係を維持するために苦情反応を利用している可能性を示した。
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