2013 Fiscal Year Research-status Report
消費者・商店街の実地調査に基づく電子マネー利用モデルおよび普及戦略の実証的構築
Project/Area Number |
25380578
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
渡部 和雄 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (90244532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 邦彦 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (40315213)
梅原 英一 東京都市大学, メディア情報学部, 教授 (00645426)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電子マネー / 普及 / 構造方程式モデリング / モデル / 消費者調査 / エージェント / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、消費者調査データや商店街調査情報に基づいた構造方程式モデリングおよび数理モデルを作成・検証し、電子マネー普及・活用戦略を実証的に構築することである。 平成25年度は5月に関東地方に居住する20代から60代の男女1,470名に電子マネーに対する意識や利用状況、交通や買い物の利用環境についてアンケート調査を行った。また、7月に関東地方、中部地方、関西地方に居住する10代後半から30代の男女、742名に電子マネーに対する意識と利用状況についてアンケート調査した。その結果を分析したところ、電子マネーの利用頻度および利用意向を向上させる要因には、「地域の交通網発達度認識」、「地域の流通網発達度認識」、「交通機関での利便性認識」、「買い物での利便性認識」、「個人の情報収集関与度合い」、および「電子マネーの必要性」があることが判明した。これらの要因と電子マネー利用頻度および利用意向との因果関係を分析し、論文にまとめた。また、判明した因果関係を元に電子マネー普及策を検討し、提案を論文にまとめた。いずれも査読論文として学会誌に掲載された。 また、平成25年度はShy and Tarkka(2002)のモデルをベースに、電子マネーの普及プロセスをマルチ・エージェント・モデルとして表現し、利用プロセスをシミュレートした。その結果、電子マネー普及に関する閾値が存在している可能性を発見でき、研究発表した。 さらに、電子マネーや地域通貨を利用した商店街振興事例について調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
消費者調査に基づいて電子マネーの普及条件を分析し、因子を抽出できた。また、これらの因子と電子マネー利用頻度や利用意向との因果関係をモデル化できた。さらに、この結果を使って電子マネー普及策を提案できた。 また、電子マネー普及に関するマルチエージェント・シミュレーションモデルを構築して、その境界条件を求めることができた。 さらに、電子マネーや地域通貨による商店街振興事例を調査することもできた。 これらを総合すると、当初の計画を超える領域まで進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
消費者調査と電子マネー普及のモデル化については、引き続き対象地域を変えながら、調査と分析を進める。そして、数理モデルの検証を行い、電子マネー普及のための提案を行っていく。 商店街振興およびシミュレーションモデルについては、今期は以下の方向で検討を進める。地域通貨としての電子マネーの事例が散見される。しかし、地域通貨は、行政等の補助金が削減されると財政基盤を失い、消滅する地域通貨が多い。一方で、千葉県千葉市のピーナッツのように1999年の開始から継続している例も見受けられる。そこで、地域通貨としての電子マネーに焦点を絞り、マルチエージェント・シミュレーションモデルを構築することで、普及に関する境界条件を求める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度末にもう1回、電子マネーに関する消費者調査を行う予定であった。しかし、消費者のお金に関連する調査でもあり、平成26年4月に予定されていた消費税率の改訂後に調査する方が、消費者意識の現状をくみとることができると判断し、次年度に行うこととした。 次年度に電子マネーの利用状況や利用環境の調査を含む消費者調査を行うために使用する予定である.
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